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交点論による証明

2次と3次の既約曲線の交点に関するベズーの定理88を用いることで,パスカルの定理の極めて簡明な証明が得られる.

ベズーの定理88によれば,射影平面上の2曲線 $C:f(x,\ y,\ z)=0$ $C':g(x,\ y,\ z)=0$は高々$6$個の共有点をもつ.

この対偶として,2次曲線と3次曲線が7個以上の共有点をもてば,互いに素ではない.つまり可約であり,共通因子をもつ.

パスカルの定理の証明

再掲されたパスカルの定理4.2.4を示す. また記号も,この命題の記号を用いる.

$\lambda,\ \mu$を定数として,

\begin{displaymath}
g(X)=\lambda
L(q_{a_1}^{b_2},\ X)
L(q_{b_1}^{c_2},\ X)
L...
..._{b_1}^{a_2},\ X)
L(q_{c_1}^{b_2},\ X)
L(q_{a_1}^{c_2},\ X)
\end{displaymath}

とおく.$g(X)=0$は 直線$a_1b_2$と直線$b_1a_2$ の交点$p_1$, 直線$b_1c_2$と直線$c_1b_2$ の交点$p_2$, 直線$c_1a_2$と直線$a_1c_2$ の交点$p_3$を通る. これらは$Q$上にない.

二次曲線$Q:f(X)=0$上の6点 $a_1,\ b_1,\ c_1$ $a_2,\ b_2,\ c_2$ 以外の点$r$をとり $g(r)=0$となるように$\lambda,\ \mu$を定める.

このとき$Q$$g(X)=0$で定まる曲線は7個の点を共有する. よって$f(X)$$g(X)$は共通因子をもつ.

7点は同一直線上にはないから, 共通因子は2次以上である. よって$g(X)$$f(X)$で割りきれる. $g(x)=h(X)f(X)$とおくと,$h(X)$は1次式であり, $p_1,\ p_2,\ p_3$$Q$上にはないので,$h(X)=0$を満たす. つまり, 3点 $p_1,\ p_2,\ p_3$ は一直線上にある. ■


2014-01-03