命題83によって 三角形と三角形に内接する円錐曲線が存在する. とは 三角形の接点,,の接点の5点を共有している. 命題82によって5点を指定すれば円錐曲線は一意に定まるので, である.
よってとなり, 任意の点についてそれを頂点の一つとする同様の三角形が存在する. □
命題87.1によって
に代えてをとることにより
(1) の中に異なるものが3個以上ある場合.
との接点をとし,とする. と,の交点をそれぞれとし, さらにととの交点を, ととの交点をとする.
点は上にないので,曲線束の要素で, 点を通るものが一意に存在する. これをとする.
デザルグの対合定理86の証明を
曲線束に適用して,三つの点対
次に円錐曲線は点で,と接することを示す.再びデザルグの対合定理の証明と同様にして
この証明はの場合もそのまま通用する.他の2点が一致するときは,
点の名前をつけ替えればよい.
また に同じものがあるときも証明はそのままでよい. 例えばとが3重に接している場合もこの証明の中で示せている.
(2) の場合.
2直線との交点をとする. (1)の証明の後半と同様に, で定まる対合に関しては自己対合である. 一方, 2直線 , の積は曲線束に属する分解した二次曲線である. 曲線束の直線上の対合に関して 2直線 , の積の自己対合点はその交点である. よっては2直線 , の交点と一致する. かくして2直線 , の積が 直線と1点を共有し,これが求めるである.
その他の点が一致する場合,つまり右図のようになるときもあるが, その場合の証明は同じである. □
実平面の円束に関する補題を確認しよう.
これから次のような別証明ができる.
円周角の定理によって , である. よって三角形と は相似であり である. 同様にして 三角形とは相似であり である.
三角形の正弦定理から
直線との交点をとすると, 三角形は二等辺三角形で となる.よって 2点 で に接する円が存在する.
上の4点 からへの 接線の長さの比はすべて等しく.円は,と同じ円束に属する.いいかえればは円はで定まる円束の円である.
の場合はとの他の2共有点を結ぶ直線が平行となり, 2虚点を結ぶ無限遠直線の4直線が共点となることから示される. □
このようにして円の場合に証明されたことを, 射影変換でもとに戻すことにより, 一定の条件を満たす任意の円錐曲線での命題が示される.
に対し, とがともにに接するので, 定理97より と が接する曲線束の円錐曲線と と が接する曲線束の円錐曲線が存在する.に接する曲線束の要素は一意に定まるので, これらの円錐曲線は同一である.これをとする. と がともにに接するので, 再び定理97より直線が接する曲線束の円錐曲線が存在する. □
のとき成立するとする. が接する曲線束に属する円錐曲線が存在する. 一方 はに接している. 命題98において,を とすることによって, が接するの要素が存在することが示された.
よってに対してつねに成立する. □
このポンスレの定理を根拠として,閉形定理が示される.
定理 13 (閉形定理) 自然数をとする. 与えられた円錐曲線上に頂点をもつ角形 で, 辺 が 一つの円錐曲線に接しているものが存在する. このとき,上の任意の点をとり,順次 を がに接するようにとる. このとき残る辺もに接する. ■
証明 に対して と がに接するので,定理97より と が同じ曲線束の同じ円錐曲線に接する. 定直線に接する曲線束の要素は一意に定まるので, は同じ円錐曲線に接する. この結果,再び定理97よりとも 同じ曲線束の同じ円錐曲線に接する.つまりもに接することが示された. □