この場合,試行の結果は,着く時刻の全体である. 6時5分から10分の間に着く確率は何か.
これは である.
このことは理解しやすい.しかし根元事象の確率,ちょうど6時3分に着く確率は0である. ここに違いがある.
いずれにせよ,確率空間が,実数の区間,平面領域,あるいは空間領域となり, その何れが起こるかが同様に確からしいとする.
そして,その一部が該当する事象に対応するばあい, その事象の確率が,長さの比や面積,体積の比になることは,理解しやすい.
連続的な確率もときに入試問題として出題されるが, その場合は何をもって確率とするのかが指示される.
一般的には,和に変えて積分が必要になる. 確率の考え方が理解できているときには, 積分の意味を理解すれば, これを連続的な確率の場合に一般化すること自体は難しくない.
以下は,数学IIIの微積分が必要である.
次の確率を求めよ.
連続的な確率で,もっとも有名であり重要なものは ビュッホンの針と言われる問題である.
解答
長さが の針の中点が一つの直線から の距離のところに落ちるとする.
針と,直線と直交する方向のなす角を とする.対称性を考慮し
このときこのとき針がこの直線と交わるのは
ゆえに求める確率は の面積が
であるから
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ただし解答にあたり次のことを用いてよい.
平面上に共に原点 O を始点とする一次独立な2つのベクトルa,bを考え,点
O とa,b,a+bの3つのぺクトルの終点の4点を頂点とする平行四辺形を
とする. の領域 に対して, をaとbの整数係数の一次結合
a+ bによって平行移動したもの全体の和集合を とする.即ち記号で書くと
このとき平面に1点 を無作為に落とすとき,その点が 内に落ちる確率は, の面積の平行四辺形 の面積に対する比になっている.