次の入試問題を考えてみよう.
次の問いに答えよ.
公平なサイコロを1回振るごとに,偶数の目が出たら1(万円)獲得し,奇数の目が出たら1(万円)損失するという賭けを行う.所持金0でこの賭けを回繰り返した際の損益額の合計を(万円)とする.ただし,とする.
(1) とするとき,確率, の値をそれぞれ求めよ.ただし, はにおけるの最大値を表す.
(2) とするとき,確率, の値をそれぞれ求めよ.ただし,は集合の要素の個数を表す.
(3) 任意のに対してとの間に成り立つ関係を求めよ.
解答
(1)
1との値をとる確率変数は,に対し、
のとき.
試行の総数はである.
左垂もとに,条件を満たすからの経路の総数を数えることにより,次の結果を得る.
(2) 同様に考える.
(3) (2)と同様に,,である. また,とが他の事象の和の余事象であることも同様である.
そこで,に対して,とを それぞれ, と で表す.
について. となる事象は,
なら,そこからはじめて残る4回の試行でからの正方向の最大偏位がとなり,
なら,そこからはじめて残る4回の試行でからの正方向の最大偏位がとなるような事象である.
よって,
について. となる事象は,
のとき.2回目からはじめて残る4回の試行で, か が回起こるとする. このとき,そのの部分でのをに置きかえて得られる試行を考えると, 1回目の試行とあわせてとなる事象が得られる.
逆に,でとなる事象から逆の置きかえで,
か
が回起こる事象が得られる.
なら,2回目からはじめて残る4回の試行で, か が回起こるとする. 最初に となるに対し, の部分でのをに置きかえて得られる試行を考えると, これによってとなる事象ががつ得られる.
逆に,でとなる事象から逆の置きかえで,
か
が回起こる事象が得られる.
したがって,
のときは
これを一般化してみよう. 以下,で事象の確率を表し,は集合の要素の個数を表すものとする.
解答
(1)
を固定し,となるをとる.
なぜなら,
となる一つの事象に対して, 最初にとなるを定め,の範囲のに対し なら,これをにおきかえた事象をとると, これは,を満たす.
逆に, となる一つの事象に対して, より最初にとなるがある. の範囲のに対し なら,これをにおきかえた事象をとると, これは, を満たす.
この対応は一対一であるのでが成り立つ.
したがって,
回中,となるが個,となるが個とする. ということは かつなので,である.したがって の一方は0である.
したがって,が偶数のとき.
(2) すべてのに対して, , なので, である.
また,
これからのとき題意は成立する.
自然数に対して,
のとき,
自然数に対して,
のとき,
そこで, に対して,とを それぞれ, と で表す.
について,となる事象は,
なら,そこからはじめて残る回の試行でからの正方向の最大偏位がとなり, なら,そこからはじめて残る回の試行でからの正方向の最大偏位がとなるような事象である.
について,となる事象は,
のとき.2回目からはじめて残る回の試行で, か が回起こるとする. このとき,そのの部分でのをに置きかえて得られる試行を考えると, 1回目の試行とあわせてとなる事象が得られる.
逆に,でとなる事象から逆の置きかえで, か が回起こる事象が得られる.
なら,2回目からはじめて残る回の試行で, か が回起こるとする. 最初に となるに対し, の部分でのをに置きかえて得られる試行を考えると, これによってとなる事象が1つ得られる.
逆に,でとなる事象から逆の置きかえで, か が回起こる事象が得られる.
上から,漸化式
のとき,に対して成立するとすると,漸化式が等しいので, のとき,について成立し, のときの考察とあわせて, について成立する.
よって,