南海 次のように標本空間の各部分集合にその部分集合の確率値が与えられてはじめて確率が定義され,数学の問題になる.
確率の定義
を試行の結果の集合,つまり標本空間とする.の部分集合全体の集合をとする. の要素(つまりの部分集合) に対して実数値を対応させる関数が次の性質を持つとき関数を「確率」と呼ぶ. とする.
このとき標本空間に確率が定義されているという. 標本空間と確率の組を確率空間という.
正確にははの部分集合全体である必要はなく,
しかし離散的な有限個の結果からなる確率を考えるかぎり,先の定義でよい.
南海 例で考えてみてほしい.
史織
サイコロで考えます.サイコロを振った結果は1の目から6の目ですから
南海 全部でいくつあるか.
史織 6つの結果を選ぶか選ばないかなので個です.
確率の定義の(ii)と(iii)より
だから根元事象の確率が全て等しければ
の部分集合,つまりの要素が事象なのですね.
南海
サイコロに細工がしてあって,1の目が出る確率がで他の目が出る確率が各々
ということもあり得る.この場合は標本空間は同じだが確率が違う.この場合の確率をとすると
史織 となるかとなるかは現実の問題. 入試問題などでは問題文の中で与えられることなのですね.
南海 などはと書いてもまちがいは起こらない.このように, 以下では,根元事象の確率等を集合の記号をはずしてのように書く. あくまで略号であることを忘れないでほしい.