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条件から命題を作る

南海  さてここで,推論型の命題など,条件から構成される命題についていろいろ考えよう.

$p(x)$および $q(x)$ を集合 $U$ を定義域とする命題関数, つまりは$U$の要素 $x$ に関する条件とする.

このとき次のものはすべて命題となる.

  1. $U$のすべての要素 $x$ に対して$p(x)$は真である.
  2. $p(x)$を真とする$U$の要素 $x_0$ が存在する.
  3. $U$の要素$x_0$について,$p(x_0)$が真なら$q(x_0)$は真である.

これらを順に

\begin{displaymath}
p(x)\ の全称命題, \quad p(x)\ の存在命題, \quad p(x),\ q(x)の含意命題
\end{displaymath}

等という.

なお,(3)は「$p(x_0)$が真となるすべての $x_0$ に関して$q(x_0)$は真である」 ということだ.

また上の三つは記号的には次のように書く.ただし.条件 $p(x)$ に対して 「$p(x).$」 と ピリオドを打って文章にしたときは「$p(x)$が成立する.」あるいは「$p(x)$は真である.」 を意味するものとする.

  1. $\forall x\in U,\ p(x).$
  2. $\exists x\in U,\ p(x).$
  3. $x\in U,\ p(x).\Rightarrow q(x).$
それぞれが命題で真偽が判断される.

それぞれの命題の否定はどうなるかな.

史織  順に次のようになるのではないでしょうか.

  1. $p(x)$が偽となる$U$の要素 $x_0$ が存在する.
  2. $U$のすべての要素に対し$p(x)$が偽となる.
  3. $p(x_0)$が真で$q(x_0)$が偽となる$U$の要素が存在する.

南海  その通りだ.「 $p(x)$が偽となる」ということと「 $\overline{p(x)}$が真となる」は 同じことなので,記号で書くと順に

  1. $\exists x\in U,\ \overline{p(x)}.$
  2. $\forall x\in U,\ \overline{p(x)}.$
となる.

含意命題は「$U$任意の要素$x_0$について,$p(x_0)$が真なら$q(x_0)$は真である.」 とすればわかるように,一種の全称命題だ.全称命題が偽であることを示そうとすれば,成立しない 要素が存在することを示せばよい.

史織  それが「反例」ですね.

南海  ここで息拔きに練習問題.

演習 21       [02東北学院大改題]    解答21

次の命題について,真偽を判断せよ.ただし, $x$$y$ は実数とする.

  1. $x<\sqrt{2}$ ならば $x^2\le 2$ である.
  2. $xy=0$ ならば $x=y=0$ である.
  3. $x+y$$xy$ が有理数ならば $x$$y$ は有理数である.
  4. $x+y>1$ ならば $x>1$ または $y>0$ である.
  5. $x+y\ge 2$ かつ $xy\ge 1$ ならば $x\ge 1$ かつ $y\ge 1$ である.

南海  大切なことは,例えば(1)は 「$x<\sqrt{2}$ となるような $x$ に対して, $x^2\le 2$ が成り立つ」 という命題だということである.

このように考えていけば難しいことは何もない.



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