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必要条件と十分条件

史織  最初の教科書による必要条件・十分条件もはっきりしました.

二つの条件 $p(x),\ q(x)$ に対して,その含意命題 $p(x)\Rightarrow q(x)$ が真のとき

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
q(x) は p(x) であるための\ \textbf{必要条...
...x) は q(x) であるための\ \textbf{十分条件}\ である
\end{array}\end{displaymath}

という.
ということです.

南海  真理集合との関係で必要条件,十分条件を特徴づければどうなるのか.

史織  $p(x)\Rightarrow q(x)$ が真ということは, $p(x)$ を真とする $x$ はすべて $q(x)$ を真とする,ということですから, これまでと同じく条件 $p(x)$ の真理集合を $T_p$ と表すと


\begin{displaymath}
p(x)\Rightarrow q(x)\ が真
\end{displaymath}

であることと

\begin{displaymath}
T_{p(x)} \subset T_{q(x)}
\end{displaymath}

は,同じことになります.

ですから


\begin{displaymath}
T_{p(x)} \subset T_{q(x)}
\end{displaymath}

なら,

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
q(x) は p(x) であるための必要条件である\\
p(x) は q(x) であるための十分条件である
\end{array}\end{displaymath}

ということです.

そして $p(x)\Rightarrow q(x)$ $q(x)\Rightarrow p(x)$ がともに真のとき, つまり$p(x)$$q(x)$ であるための 必要十分条件 であるとき, 2つの条件$p(x)$$q(x)$同値であるといいます.

南海  その通り.一点注意.同値性は定義域$U$をどのようにとるかで変わるということだ.

$U$を実数にとれば,条件 $x<1$ $x<\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ は同値ではない.しかし $U$を整数にとれば,条件 $x<1$ $x<\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ は同値である.

同値であることは,それぞれの真理集合が一致することだ.

演習 22       [00上智大法]    解答22

\framebox{あ}から\framebox{え}には下の選択肢(a),(b),(c),(d)から正しいものを選んで入れよ.

  1. $n$ を整数とする.$n$ が6または15で割り切れることは, $n$ が30で割り切れるための\framebox{あ}
    $1 \le n \le 300$ をみたし,6または15で割り切れる $n$ は全部で\framebox{ハ} 個ある.
  2. $m,\ n$ を整数とする.$m+n,\ mn$ がともに12で割り切れることは, $m,\ n$ がともに6で割り切れるための\framebox{い}
    $1 \le m \le n \le 100$ をみたし,$m+n,\ mn$ がともに12で割り切れる $m,\ n$ の組は全部で\framebox{ヒ}個ある.
  3. $l,\ m,\ n$ を整数とする. $l+m+n,\ lm+mn+nl,\ lmn$ がすべて5で割り切れる ことは, $l,\ m,\ n$ がすべて5で割り切れるための\framebox{う}
  4. $l,\ m,\ n$ を整数とする. $l+m+n,\ lm+mn+nl,\ lmn$ がすべて30で割り切れる ことは, $l,\ m,\ n$ がすべて30で割り切れるための\framebox{え}
    $1\le l \le m \le n \le 100$ をみたし, $l+m+n,\ lm+mn+nl,\ lmn$ が すべて30で割り切れる $l,\ m,\ n$ の組は全部で\framebox{フ}個ある.
    選択肢:
    (a)必要十分条件である.
    (b)必要条件であるが十分条件ではない.
    (c)十分条件であるが必要条件ではない.
    (d)必要条件でも十分条件でもない.



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