円錐とは何か.また円錐曲線とは何か.
耕一 円錐というのは,軸といわれる直線があって, これに交わるもう一つの直線を軸の周りに回転させたとき, その直線が通過してできる曲面です. この直線を母線といいます. 軸と母線の交点を頂点といいます.
円錐曲線とは,円錐をある平面で切ったとき,切り口として得られる曲線です.
南海 左図のうち右側の図は軸と直交する方向から見たものだが,図のように, 軸と母線のなす角を,平面と軸のなす角をとする.
その主な性質を調べていこう.
このとき円錐に内接しかつこの平面に接する球が2個確定する. この球と平面との接点を とする.
また切り口の図形上の点をとる. 円錐の頂点と点を結ぶ直線が,2個の球と接する点を とする.
この接点は球と円錐が共有する円周上にある.
2つの直線とは球の外部の点
から,この球に引いた2本の接線であるから
2つの球と平面との接点 をこの楕円の焦点という.
2つの直線とは球の外部の点
から,この球に引いた2本の接線であるから
楕円の場合と同様に2点 をこの双曲線の焦点という.
南海 ところが放物線は,同じようにはいかない. 焦点のみで放物線を定義することはできず,準線が必要になる. 後で,楕円や双曲線の準線や離心率を円錐曲線として考えるための準備として, 放物線の場合を考えてみよう.
切断平面に点で接し, かつ円錐にも接している球の,円錐との共有円を含む平面をとする. 平面と平面との交線をとする.
曲線上の点をとる. 点から直線への垂線の足を点, 点から平面への垂線の足を点とする.
点は平面上にあり,直線は円錐の頂点を通り, 直線は円錐の軸と交わるものとする.
は平面と軸のなす角であり,これがであった. である.
は直線が軸となす角であり, これは母線が軸となす角と等しい.
平面が母線と平行なので,
この結果,2つの直線が描く三角形のあいだの合同
2直線とはともに点から同一の球への接線なので
耕一 つまり平面と円錐の交わりの曲線上の点は, 直線と点からの距離が等しい点であるのですね.
のことを準線,を焦点というのでした.
南海 放物線の場合の考察に導かれて,楕円,双曲線,放物線の離心率を定義しよう.
ここでの話は 『直観幾何学』(ダ−ヴィト・ヒルベルト;S.コ−ン・フォッセン,芹沢正三訳,みすず書店,1966) に教えられたことだ. この本は2005年に復刊された.ぜひ意欲的な高校生が挑戦してみてほしい.
円錐曲線としての放物線を考えたときと同様に,切断平面と, に接する球が円錐と接する円の乗っている平面の交わる直線をとする.
図は放物線のときの図を借用する.
図のように角は軸が母線となす角とは異なる.
耕一 平面が定まれば, 平面は平面に接する球から定まる. 角はとのなす角から定まる.
よって比 は点によらず一定なのですね.
南海 そう.それを確認することが大切なのだ.
耕一 なら楕円ですが, このときは なのでです.
なら双曲線ですが, このときは なのでです.
またなら放物線ですが, このときは なのでです. 放物線のときは先にやりました.