次: オイラー=ラグランジュ方程式の導出
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玉が原点から点 $ (x,\ y) $ に来るまで移動した距離を $ s $ とすると,
\[
v=\dfrac{ds}{dt}=\sqrt{\left(\dfrac{dx}{dt}\right)^2+\left(\dfrac{dy}{dt}\right)^2}=\sqrt{1+\left(\dfrac{dy}{dx} \right)^2}\dfrac{dx}{dt}
\]
であるから, $ v=\sqrt{2gy} $ を代入して,
\[
\dfrac{dt}{dx}=\dfrac{\sqrt{1+\left(\dfrac{dy}{dx} \right)^2}}{\sqrt{2gy}}
\]
したがって,原点から点 $ (a,\ h) $ に来るまでにかかる時間 $ T $ は定積分
\begin{eqnarray*}
T&=&\int_0^Tdt=\int_0^a\dfrac{dt}{dx}dx\\
&=&\int_0^a\dfrac{\sqrt{1+\left(\dfrac{dy}{dx} \right)^2}}{\sqrt{2gy}}dx
=\int_0^a\sqrt{\dfrac{1+{y'}^2}{2gy}}dx
\end{eqnarray*}
で与えられる.
ただし, $ x=0 $ のとき $ y=0 $ で,被積分関数 $ \sqrt{\dfrac{1+{y'}^2}{2gy}} $ は $ x=0 $ では定義されない.
この積分の意味は
\[
\lim_{u \to +0}\int_u^a\sqrt{\dfrac{1+{y'}^2}{2gy}}dx
\]
とする.これについては 『 解析基礎
』−「
多次元微分 」などを参照のこと.
この $ T $ は曲線 $ C $ が変われば変わる.
$ T $ は曲線 $ C $ の関数であり, $ T(C) $ と書かねばならない.
史織 $ T(C) $ を最小にする曲線 $ C $ を決定せよ.これが,最速降下曲線問題ですね.
南海 そうだ.そのためにはもうひとつ段階を踏まなければならない.
AozoraGakuen
2016-11-06