次: ジョルダンの標準形
上: 固有ベクトルと線型写像の対角表現
前: 行列の対角化
南海
ハミルトン・ケイレイの定理は高校数学Cにも載っている.
耕一
のとき
です.
この式は固有方程式そのものです.
南海
いいところに気づいた.実は次の事実が成り立つ.
定理 6 (ハミルトン・ケイレイの定理)
を線型写像とし,ある基底で
が行列
で表されたとする.
の固有多項式を
とすると
証明
とおく.
また,行列の余因子行列をとおく.
の各成分はの次以下の多項式である.
の各成分のの次の項の係数を成分とする行列をとおくと
と書ける.
行列の余因子行列がなので,第3節の等式 (1.2) より
これから
を得る.
なので,
これが任意ので成立するので,の各次数の行列の各成分が両辺一致する.つまり,の各次数の行列が一致する.
第1式の両辺にを,第2式の両辺にを左から乗じ,以下同様にすると.
右辺は数との積なので
等が成り立つ.よって
これをすべて加えると
を得る.□
耕一
2次行列のときに確認してみます.
前と同様に直交座標の軸軸方向の単位ベクトルを基底にして
が
で表されるとします.
です.ここで行列は
なので,その因子行列は
です.
とします.
そうか.
要するに
が
と因数分解されるのですね.
にを代入すると
です.
教科書では単なる計算として書かれていますが,
この余因子を作る方法の方が納得できます.
南海
一般の場合も積の順序の問題を明確にするため,
いったん分けてから代入して加えたが,
因数分解できている行列の式に代入したことに変わりない.
演習 10
解答
10
次の行列の最小多項式を求め,
各行列の8乗を計算せよ.
Aozora Gakuen