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ね(根)

【ね(根)】[ne]T

■[ne]は大地「な」[na]にあって、「成る」ことをささえ生み出す根拠。

▼植物の基本的な器官の一つ。植物体の支持、および水と栄養分の吸収を主な機能とする。 ◇『古事記』歌謡「巻向の日代の宮は…竹の泥(ね)の泥(ね)足る宮、木の泥(ね)の泥(ね)蔓ふ宮」 ◇『万葉集』四一五九「磯の上の都万麻(とまま)を見れば根を延へて年深からし神さびにけり」

▼物の基礎となり、それを形づくる根本となる部分。ねもと。つけね。 ◇『日本書紀』神代「譬えば海(うな)の上に浮かべる雪の根、かかること無きが猶し」 ◇『万葉集』三六八八「大和をも遠くさかりて岩が禰(ね)の荒き島根に宿りする君」

▽裏面にかくされた本性。また、その結果を誘引した原因。 ◇根のない噂。◇問題の根を断つ。紛争の根は深い。 ◇彼は根は善人なのだ。 ◇まだ根にもっている。 ◇『源氏物語』紅梅「同じ花の名なれど、梅は生い出でけむねこそ哀れなれ」 ◇『徒然草』「愛着の道、その根深く、源とほし」 ◇『流行感冒』志賀直哉「後まで両方の家に思わぬ不快な根を残し兼ねなかったのである」 ◇『土』長塚節「根が丈夫なのでお品は仕事が苦しいと思ったことはなかった」 ◇『続末枯』久保田万太郎「根をあらへば、もとは、四日市のさる塩物問屋の若旦那だった」



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