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はたらく

【はたらく(働く)[hataraku]】

◆人間が人間としての動きをすること。 人が動くことから意味が展開し、人として意味のある動きをすること一般を意味する。

▼人について。

▽からだを動かす。動作する。動く。 ◇『今昔物語』「俄かに弓に箭を番ひて、本の男に差し充て強く引きて、『おのれ働きかば射殺してむ』といえば」 ◇『宇津保物語』国譲中「生きてはたらき給ふ仏」

▽心が動く。精神などがよく活動する。機転がきく。心などがゆれ動く。動揺する。 ◇気が働く。 ◇『平家物語』一〇「心もはたらき候ぬべし」 ◇『古今著聞集』「さるにつけても、いよいよ心の働くこと静めがたけれども」

▽努力して事をする。精出して仕事をする。労働する。特に、戦場で活躍する。また、出撃する。 ◇家族のために働く。 ◇『方丈記』「つねにはたらくは、養性なるべし」 ◇『上杉家文書』「てき地へはたらき引取候時」 ◇「気が働く」

▼ものについて。

▽他にある力を及ぼす。作用する。 ◇磁力が働く。 ◇『不思議な鏡』森鴎外「そのうち水平に働(はた)らいていた磁石力が」 ◇『彼岸過迄』夏目漱石「何うかなるだらうといふ料簡が暗に働(はた)らいて」 ◇『働くものから見るものへ』(論文名)西田幾多郎

▽用言や助動詞の語形が変化する。活用する。

▽(悪事などを)する。行う。 ◇不貞(盗み)を働く。 ◇『浮雲』二葉亭四迷「この女丈夫に取入って卑屈を働く」 ◇『坊ちゃん』夏目漱石「君がもし茲で乱暴を働いてくれると」

■「働」という字は中国語の中になく、日本語の中で作られた字である。日本語ではそれだけ「はたらく」が一つの言葉として強く意識される。



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