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わかれる

【わかれる(分かれる、別れる)】[wakareru]

◆入り交じり一体となっているものの中から、何らかのことによってあるものが離れ、別のものとなること。

▼一つのものが別々になる。分離する。また、区分される。 ◇本店からわかれた店。紅白にわかれる。 ◇『万葉集』三一七「天地の分(わかれ)し時ゆ神さびて高く貴き駿河なる富士の高嶺を」(山部赤人) ◇『万葉集』二〇九二「天地の分(わかれ)し時ゆ久方の天つしるしと定めてし天の河原に」

▽道や流れなどが、ある所からいくつかに分岐する。 ◇『枕草子』四〇「楠の木は…千枝にわかれて恋する人のためしにいはれたるこそ」

▽ある人やある場所から離れて立ち去る。別離する。また、縁を切る。 ◇彼とは駅で別れた。 ◇『万葉集』四三四八「たらちねの母を和加例(ワカレ)てまことわれ旅の仮廬(かりほ)に安く寢んかも」 ◇『源氏物語』須磨「いにし年、京をわかれしとき」 ◇『徒然草』「白き糸の染まん事を悲しび、路のちまたのわかれん事をなげく人もありけんかし」

▽死んで会えなくなる。死に別れをする。 ◇『万葉集』八九一「一世にはふたたび見えぬ父母をおきてや長く吾(あ)が和加礼(ワカレ)なむ」(山上憶良)

▽区別がつく。差別ができる。 ◇委員会の意見が分かれる。 ◇『古今集』八六八「むらさきの色こき時はめもはるに野なる草木ぞわかれざりける」(在原業平)

−【わかつ】(「わかれる(分)」に対する他動詞)

▽別々に離れさせる。また、分割する。 ◇『霊異記』下・序(真福寺本訓釈)「斎食の時毎に、飯を拆(ワカチテ)烏に施し」 ◇『大鏡』「不比等のおとどの男子二人又御弟二人とを四家となづけて」

▽区域、所属、役割などを別にする。区分する。 ◇『竹取物語』「宮つかささふらふ人々みな、手をわかちてもとめ奉れども」

▽わけて配る。わけ与える。 ◇『源氏物語』若菜上「この近きみやこの四十寺にきぬ四百疋をわかちてせさせ給ふ」

▽判断して見分ける。違いをはっきりわきまえる。 ◇『平家物語』三「更に清濁をわかち、呂律をしる事なし」



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