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回数と確率[08京大理系甲乙]

問題     

正四面体ABCDを考える.点Pは時刻0では頂点Aに位置し,1秒ごとにある頂点から他の3頂点のいずれかに,等しい確率で動くとする.このとき,時刻0から時刻$n$までの間に,4頂点A,B,C,Dのすべてに点Pが現れる確率を求めよ.ただし$n$は1以上の整数とする.


方針

1.
点Pがある頂点には現れない事象の和事象, その余事象として4頂点A,B,C,Dのすべてに点Pが現れる事象を とらえる.
2.
回数とともに状態が変化する. 状態を,「それまでに点Pが現れた頂点の個数」とし, 状態の推移の確率を考える.

解1

時刻0から時刻$n$までの間にBに現れない事象を$\overline{B}$のように表す.4頂点A,B,C,Dのすべてに点Pが現れる事象は事象 $\overline{B}\cup\overline{C}\cup\overline{D}$の余事象である.

事象$\overline{B}$は点A,C,Dの間を動く事象, 事象 $\overline{B}\cap\overline{C}$は点A,Dの間を動く事象なので,

\begin{displaymath}
P(\overline{B})=\left(\dfrac{2}{3} \right)^n,\
P(\overline{B}\cap\overline{C})=\left(\dfrac{1}{3} \right)^n
\end{displaymath}

他も同様であり, $\overline{B}\cap\overline{C}\cap\overline{D}$は空事象である.よって

\begin{eqnarray*}
P(\overline{B}\cup\overline{C}\cup\overline{D})
&=&
P(\overlin...
...
&=&3\left(\dfrac{2}{3} \right)^n-3\left(\dfrac{1}{3} \right)^n
\end{eqnarray*}

これから,求める確率は次のようになる.

\begin{displaymath}
1-P(\overline{B}\cup\overline{C}\cup\overline{D})
=1-3\left(...
...+3\left(\dfrac{1}{3} \right)^n
=\dfrac{3^{n-1}-2^n+1}{3^{n-1}}
\end{displaymath}

解2

時刻0から時刻$n$までの間に, 点Pが現れた頂点の個数が$k$である状態を$p_n(k)$とおく. $n\ge 1$のとき$k=2,\ 3,\ 4$であり, 4頂点A,B,C,Dのすべてに点Pが現れる確率は$p_n(4)$である.

 $n$$n+1$の間の推移の確率は図のようになる. ただし状態を指示するところに確率を書きこんでいる.

これからまず

\begin{displaymath}
p_{n+1}(2)=\dfrac{1}{3}p_n(2)
\end{displaymath}
$p_1(2)=1$より $p_n(2)=\dfrac{1}{3^{n-1}}$である. 次に

\begin{displaymath}
p_{n+1}(3)=\dfrac{2}{3}p_n(2)+\dfrac{2}{3}p_n(3)
=\dfrac{2}{3^n}+\dfrac{2}{3}p_n(3)
\end{displaymath}
これから $3^{n+1}p_{n+1}(3)=6+2\cdot3^np_n(3)$.つまり

\begin{displaymath}
3^{n+1}p_{n+1}(3)+6=2\{3^np_n(3)+6\}
\end{displaymath}

$p_1(3)=0$より

\begin{displaymath}
3^np_n(3)+6=2^{n-1}\{3p_1(3)+6\}=3\cdot2^n
\end{displaymath}


\begin{displaymath}
∴\quad p_n(3)=\dfrac{2^n}{3^{n-1}}-\dfrac{2}{3^{n-1}}
\end{displaymath}

また

\begin{displaymath}
p_{n+1}(4)=\dfrac{1}{3}p_n(3)+p_n(4)
=\dfrac{2^n}{3^n}-\dfrac{2}{3^n}+p_n(4)
\end{displaymath}


\begin{displaymath}
∴\quad p_n(4)=p_1(4)+\sum_{k=1}^{n-1}\left\{\dfrac{2^k}{3^k}-\dfrac{2}{3^k} \right\}
\end{displaymath}

$p_1(4)=0$より

\begin{displaymath}
p_n(4)=\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1-\dfrac{2^{n-1}}{3^{n-1}}}{1...
...}}}{1-\dfrac{1}{3}}
=1-\dfrac{2^n}{3^{n-1}}+\dfrac{1}{3^{n-1}}
\end{displaymath}

これは$n=1$のときも成立する.


吟味

基本的にはすべての状態を数列に置き漸化式を立てることで解くことができる.


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