空間内に,異なる個の点
,,...,と
ベクトル
があり,のとき
が成り立っているとする.このとき,と異なるすべてのに対し
方針 これは平面,空間に関係ない問題であるのでここに含める.
解1
図のようにベクトル と垂直な平面 を考える. この平面をベクトル の方向に平行移動していく. すると, 個の点,,..., のどれかが最初に 上に来るときと,最後に から離れるときがある.
上のベクトルはすべてベクトル と垂直である.したがって のとき が成り立っているので,同時に二つの点が 上に来ることはない. 最後に から離れるときの点を とする.
ベクトル の始点を 上においたとき と異なるすべてのに対しベクトル は始点が 上にあり,かつ に関してベクトル とは反対の側にある.
したがってベクトル
とベクトル の
なす角はすべて鈍角である.つまり
と異なるすべてのに対し
解2
基準点 をとる.
なら
なので,
吟味
こちらは図形的な性質を使っていないので, この二つの証明はずいぶん違うように見える. しかし,次のように考えると, それほどちがったことをしているのではないことに気づく.
ベクトル は長さが1としても一般性を失わない.このとき内積 は何を意味するか.
から,を通り に平行な直線に下ろした点
を とすると,
このように別解というのは,同じ数学的な現象をいろんな側面から見ることで生まれる. しかしまた,その数学的な現象に対する理解が深まれば,それほど別でもないということがわかる. あるいは,二つの方法に共通なことは何かを考えることで 数学的な現象に対する理解が深まる,ということもある.