数学の存在証明においてもこれは大切な問題だ. 例えば「必要条件でしぼる」の例題3.6の十分性の証明を見てほしい.存在に関わる部分だけを取り出すと,
が奇数または4の倍数なら には整数解が存在する.これを証明せよということになる.これは次のように作ってみせた.
とおく.すると
ある条件の下で作ってみせることができれば,その条件が存在するための十分条件であることがわかる.構成すること,これが存在証明の基本である.これをまず銘記しよう.
例題 1.16 [04千葉大後期]
直角をはさむ2辺の長さがともに整数の直角三角形を「整直角三角形」という. 二等辺三角形でない二つの整直角三角形をとし, それぞれの斜辺の長さをとする. このとき, これらの積を斜辺の長さにもつ整直角三角形が存在することを示せ.
考え方 これは直接作ってみせることで存在を示す. 問題文中の条件を適切に使っているかよく注意しよう.
解答
が整直角三角形の斜辺なので
ここでかつならば,との辺々をかけて
よって@またはAの少なくとも一方は次のことを示している.
0でない二つの整数で,それらの平方の和がの平方に等しいものが存在する. つまり積を斜辺の長さにもつ整直角三角形が存在することが示された. □