東大理系前期6 問題 解説 2001年入試に戻る


 n 回の操作の後の点 ${\rm A}$ の座標を an , 点 ${\rm B}$ の座標を bn とする.

(1) 点 ${\rm A}$ と点 ${\rm B}$ の座標の差は高々1である. なぜなら, ${\rm A}$ と点 ${\rm B}$ の座標が同じなら 1回の操作で1差が出来る. ${\rm A}$ と点 ${\rm B}$ の座標の差が1なら, 差が1のままか同じ座標になるかしかないからである. an+1=bn+1 となるのは, an=bn-1 で表が出るか, bn=an-1 で裏が出る場合のみである. $a_n=b_n-1,\ b_n=a_n-1$ となる場合の数はそれぞれ
\begin{displaymath}\dfrac{1}{2}(2^n-X_n)
\end{displaymath}
である.
(2) X1=0 である. $Y_n=\dfrac{X_n}{2^n}$ とおくと (1)より
\begin{displaymath}Y_{n+1}=-\dfrac{1}{2}Y_n+\dfrac{1}{2},\ Y_1=0
\end{displaymath}
これから

\begin{displaymath}∴ \quad X_n=2^nY_n=\dfrac{2}{3}\{2^{n-1}-(-1)^{n-1}\}
\end{displaymath}

(3) n回後のaの平均とb の平均は等しい.そこで a+b の平均が求まれば よいので,n回の試行における2n通りのan+bnの値の平均をEnとおく.
\begin{eqnarray*}E_{n+1}&=&\dfrac{2^nE_n+(表が出た場合の増加分)+2^nE_n
+(裏が出...
...2}\cdot\dfrac{X_n}{2^n}\\
&=&E_n+\dfrac{3}{2}-\dfrac{1}{2}Y_n
\end{eqnarray*}
E1=1 より
\begin{eqnarray*}E_n&=&1+\sum_{k=1}^{n-1} \left(\dfrac{3}{2}-\dfrac{1}{2}Y_k \ri...
...{3}n-\dfrac{2}{9}-\dfrac{1}{9}\left(-\dfrac{1}{2} \right)^{n-1}
\end{eqnarray*}
\begin{displaymath}∴ \quad a\ の平均=\dfrac{1}{2}E_n
=\dfrac{2}{3}n-\dfrac{1}{9}+\dfrac{1}{9}\left(-\dfrac{1}{2} \right)^n
\end{displaymath}

 

別解n 回後の a の平均と b の平均は等しい.そこで a+b の平均が求まれば よいので, n 回の試行における an+bn の期待値を En とおく. n 回目から次の1回の試行で2増えるのは an<bnで裏が出るか, bn<an で表が出る場合のみである.したがって
\begin{displaymath}E_{n+1}-E_n=2\times\dfrac{1}{2} \left(1-\dfrac{X_n}{2^n} \rig...
...ght)
+\dfrac{X_n}{2^n} \right\}=\dfrac{3}{2}-\dfrac{1}{2}Y_n
\end{displaymath}
(以下は上と同じ計算)
\begin{displaymath}a\ の平均=\dfrac{1}{2}E_n
=\dfrac{2}{3}n-\dfrac{1}{9}+\dfrac{1}{9}\left(-\dfrac{1}{2} \right)^n
\end{displaymath}