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幾何的定義による証明

平面におかれた二次曲線の 二つの定義の同等性はすでに示されているので, 証明の方法によって適切な定義を選べばよい. 二次曲線$Q_2^1$の定義として定義30を用い, この定義のもと,複比で表された射影幾何の基本性質からパスカルの定理が次のように示される.

証明


\begin{displaymath}
a=(p_1\vee p_2)\cap(p_4\vee p_5),\
b=(p_2\vee p_3)\cap(p_5\vee p_6),\
c=(p_3\vee p_4)\cap(p_6\vee p_1)
\end{displaymath}

とおく.また

\begin{displaymath}
m=(p_1\vee p_6)\cap(p_4\vee p_5),\
n=(p_3\vee p_4)\cap(p_5\vee p_6)
\end{displaymath}

とする.複比の相等

\begin{eqnarray*}
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&&[p_5,\ m;\ a,\ p_4]\\
(命?...
...vee p_6;\ p_3\vee p_2,\ p_3\vee p_4]\\
&=&[p_5,\ p_6;\ b,\ n]
\end{eqnarray*}

が成り立つ.この結果,命題67によって 3直線$m\vee p_6$$a\vee b$$n\vee p_4$は共点である. つまり$a\vee b$上に $c=(m\vee p_6)\cap(n\vee p_4)$があり, 3点$a,\ b,\ c$は共線である.

逆に$a,\ b,\ c$が共線であるとする.このとき

\begin{eqnarray*}
&&[p_1\vee p_5,\ p_1\vee p_6;\ p_1\vee p_2,\ p_1\vee p_4]\\ 
...
...\\
&=&[p_3\vee p_5,\ p_3\vee p_6;\ p_3\vee p_2,\ p_3\vee p_4]
\end{eqnarray*}

線束$L(p_1)$の3直線 $p_1\vee p_5,\ p_1\vee p_6;\ p_1\vee p_2$を 線束$L(p_3)$の3直線 $p_3\vee p_5,\ p_3\vee p_6;\ p_3\vee p_2$に うつす射影写像をとると, 線束の複比の定義と命題64によって,この射影写像で$p_1\vee p_4$$p_3\vee p_4$にうつる. よってこの線束間の射影写像で定まる$Q_2^1$の上に 6点 $p_i\ (1\le i \le 6)$が存在する. □


この証明は複比で記述したが,二次曲線の射影写像による定義を,配景写像,射影写像の基本性質と結びつけたものである.


2014-01-03