next up previous 次: 4章 上: 解答 前: 2章

3章

解答 7   問題7    
  1. $n$ が30で割り切れれば,6または15で割り切れるが,逆は言えない.よって,(b)
    6で割り切れるものが,50個.
    15で割り切れるものが,20個.
    6かつ15で割り切れる,つまり,30で割りきれるものが10個.
    ∴  $50+20-10=60(個)$
  2. $m+n=12k,\ mn=12l$ なら, $mn=m(12k-m)=12l$ .つまり $m^2=12(mk-l)$$m^2$ が12の倍数なので, $m$ は素因数2と3を持つ.つまり6の倍数.このとき $n=12-m$ から $n$ も6の倍数.
    逆に $m=6,\ n=12$とすると $m+n=18$ は12で割り切れない.よって,(c).
    $m=6k,\ n=6l$とかける.さらに $m+n=6(k+l),\ mn=36kl$ なので, $m+n,\ mn$ が12の倍数になるためには $k$$l$ の偶数と奇数が一致すればよい.
      $k=1$ に対して $l=1,\ 3,\ \cdots ,\ 15$ の8個.
      $k=2$ に対して $l=2,\ 4,\ \cdots ,\ 16$ の8個.
      $k=3$ に対して $l=3,\ \cdots ,\ 15$ の7個.
      $k=4$ に対して $l=4,\ \cdots ,\ 16$ の7個.
       … …
      $k=15$ に対して $15$ の1個.
      $k=16$ に対して $16$ の1個.

    \begin{displaymath}
∴ \quad 2(8+7+\cdots+1)=72(個)
\end{displaymath}

  3. $l+m+n,\ lm+mn+nl,\ lmn$ がすべて5で割り切れるとする. $lmn$ が5の倍数なので少なくともひとつ,例えば $l$ は5の倍数.するとその結果, $m+n=-l,\ mn=-l(m+n)$ が5の倍数.
    $m,\ n$ の少なくとも一つは5の倍数. $m$ が5の倍数なら $n=-m$ も 5の倍数.条件は $l,\ m,\ n$ で対称なので, $l,\ m,\ n$ は5の倍数.
    逆は明らか.よって,(a).
  4. (3)より $l+m+n,\ lm+mn+nl\ と\ lmn$ が5で割れることは同値である.$30=5 \cdot 6$で5と6は互いに素なので,6で割り切れることについて調べる.
    $l+m+n,\ lm+mn+nl,\ lmn$ がすべて6で割り切れるとする.
    $lmn$ が6の倍数なので,例えば $l$ は2の倍数である.このとき(3)と同様にして $m+n,\ mn$ ともに2の倍数.よって, $l,\ m,\ n$ はすべて2の倍数.
    同様に $l$ が3の倍数とすると $m+n,\ mn$ ともに3の倍数.よって, $l,\ m,\ n$ はすべて3の倍数.
    よって $l,\ m,\ n$ は6の倍数.よって $l,\ m,\ n$ は30の倍数.逆は明らか.∴ (a).
    30の倍数の組は
    \begin{eqnarray*}
(l,\ m,\ n)&=&(30,\ 30,\ 30),\ (30,\ 30,\ 60),\ (30,\ 30,\ 9...
...,\ 60),\ (60,\ 60,\ 90),\ (60,\ 90,\ 90)\\
&&(90,\ 90,\ 90)
\end{eqnarray*}

    ∴ 10個
解答 8   問題8    
(1)
$a$が奇数のとき,$b$も奇数と仮定する. このとき$c$は偶数である.
\begin{displaymath}
a=2k+1,b=2l+1,\ c=2m
\end{displaymath}

とおく.
\begin{displaymath}
a^2+b^2=4(k^2+k+l^2+l)+2,\ c^2=4m^2
\end{displaymath}

となり,4で割った余りが異なる.つまり$a^2+b^2=c^2$が成り立ち得ない.

ゆえに$b$は偶数であり,$c$は奇数である.

(2)
$a^2+b^2=c^2$より $b^2=(c-a)(c+a)$となるが(1)から$c-a,\ c+a$ はともに偶数である.
\begin{displaymath}
\left(\dfrac{b}{2} \right)^2=\dfrac{c-a}{2}\cdot\dfrac{c+a}{2}
\end{displaymath}

ここで $\dfrac{c+a}{2}>\dfrac{c-a}{2}\ge 1$なので, $p$$\dfrac{b}{2}$の素因数の一つとすると$p>1$

$\dfrac{c-a}{2}$ $\dfrac{c+a}{2}$がともに$p$を因数に持てば

\begin{displaymath}
\dfrac{c-a}{2}=kp,\ \dfrac{c+a}{2}=lp
\end{displaymath}

とおくと
\begin{displaymath}
c=(k+l)p,\ a=(l-k)p
\end{displaymath}

となり$p$$a$$b$の公約数となる.$a$$b$は互いに素で, $p>1$であるから,$p$ $\dfrac{c-a}{2}$ $\dfrac{c+a}{2}$のいずれか一方 のみの素因数となる.

$\left(\dfrac{b}{2} \right)^2$の最高べき指数は偶数であるから $\dfrac{c-a}{2}$ $\dfrac{c+a}{2}$のいずれもが平方数となる.

つまり

\begin{displaymath}
\dfrac{a+c}{2}=d^2
\end{displaymath}

となる自然数$d$が存在する.
解答 9   問題9    
  1. $b^3$は3の倍数である. 3は素数なので$b$が3の倍数である. $b=3b'$とおく.$3a=b^3$より $3a=(3b')^3=27{b'}^3$. これから$a=9{b'}^3$.よって$a$は3の倍数である.

    同様に$c$は5の倍数なので,$c=5c'$とおく. $5a=c^2$より$5a={5c'}^2$より$a=5{c'}^2$. よって$a$は5の倍数である.

  2. $a$の素因数で3と5以外のものがあるとし, それを$p$とし,$a=pa'$とおく.
    \begin{displaymath}
p(3a')=b^3,\ p(5a')=c^2
\end{displaymath}

    より(1)と同様に$b$$c$$p$の倍数である. $b=p^lb'',\ c=p^mc''$とおく. ただし$b'',\ c''$$p$と互いに素である.
    \begin{displaymath}
3a=p^{3l}{b''}^3,\ 5a=p^{2m}{c''}^2
\end{displaymath}

    $p$は3, 5と互いに素なので, $a$の素因数分解における素因数$p$は, 第1式からは3の倍数個あり,第2式からは2の倍数個ある. したがって,$a$を因数分解すると素因数$p$は6の倍数個ある. ところがこれは, 条件「$d^6$$a$を割り切るような自然数$d$$d=1$に限る」 と矛盾する.よって$a$の素因数は3と5以外にないことが示された.
  3. $a=3^e5^f$とおく.条件から $1\le e,\ f \le 5$である.
    \begin{displaymath}
3a=3^{e+1}5^f=b^3,\ 5a=3^e5^{f+1}=c^2
\end{displaymath}

    これから$e+1,\ f$は3の倍数,$e,\ f+1$は2の倍数である. $1\le e,\ f \le 5$の範囲でこれを満たすのは $e=2,\ f=3$.したがって $a=3^2\cdot5^3=1125$
解答 10   問題10    
(1)
5以上の素数$p$は奇数でありかつ3の倍数ではない. 従って6で割った余りは1か5である. $p$は5以上なので,ある自然数$n$を用いて $6n+1$または$6n-1$の形で表される.
(2)
$N$が自然数なので$6N-1\ge 5$である. $6N-1$は3の倍数でないのでその因数分解に3は表れない. 従ってすべての素因数は$6n+1$または$6n-1$の形で表される. すべての素因数が$6n+1$型のものばかりと仮定し, それらを $6n_1+1,\ \cdots,\ 6n_l+1$とする.

一般に6で割って1余る二数$6u+1,\ 6v+1$の積は

\begin{displaymath}
(6u+1)(6v+1)=6(6uv+u+v)+1
\end{displaymath}

より再び6で割って1余る. これを繰りかえし用いることにより, $6n_1+1,\ \cdots,\ 6n_l+1$のべきの積
\begin{displaymath}
(6n_1+1)^{e_1}\cdots(6n_l+1)^{e_l}
\quad \cdots\maru{1}
\end{displaymath}

も6で割って1余る数であることが分かる.

これは$6N-1$が6で割って$-1$つまり5余る数であることと矛盾する.

よって$6N-1$は, $6n-1\ (n\ は自然数)$の形で表される素数を約数にもつ.

(3)
$6n-1\ (n\ は自然数)$の形で表される素数の個数が有限で$k$個であるとする. それらを $p_1,\ \cdots,\ p_k$とする.
\begin{displaymath}
L=6p_1\cdots p_k-1
\end{displaymath}

とおく. $L$ $p_1,\ \cdots,\ p_k$のいずれでも割っても$-1$余り, 割り切れない. 一方$L$$6N-1$型なので(2)から$6n-1$型の素因数をもつ. その素数は $p_1,\ \cdots,\ p_k$のいずれとも異なる.

これは $6n-1\ (n\ は自然数)$の形で表される素数の個数が有限で$k$個であるという仮定と矛盾する.ゆえに有限個ではありえない.


next up previous 次: 4章 上: 解答 前: 2章
Aozora
2015-03-02