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6章

解答 21   問題21    
(1)
15と互いに素な15以下の数は
\begin{displaymath}
1,\ 2,\ 4,\ 7,\ 8,\ 11,\ 13,\ 14
\end{displaymath}

である.よって$f(15)=8$
(2)
$1\le m \le pq$の範囲にある$pq$と互いに素でない数は $p$の倍数と$q$の倍数でありそれぞれ,
\begin{displaymath}
\{p,\ 2p,\ \cdots,\ pq\},\ \{q,\ 2q,\ \cdots,\ pq\}
\end{displaymath}

である.$pq$が共通なので,互いに素でない数が

\begin{displaymath}
q+p-1
\end{displaymath}

よって

\begin{displaymath}
f(pq)=pq-(q+p-1)=(p-1)(q-1)
\end{displaymath}

(3)
1から $p^e$ までの数のなかで $p^e$ と互いに素では ないものは, $p$ で割り切れるものに他ならず,それは
\begin{displaymath}
1\cdot p,\ 2\cdot p,\ \cdots,\ p^{e-1}\cdot p
\end{displaymath}

$p^{e-1}$ 個だけある.よって
\begin{displaymath}
f(p^e)=p^e-p^{e-1}=p^e \left(1-\dfrac{1}{p} \right)
\end{displaymath}

である.
解答 22   問題22    
    1. $gcd(N,\ n)\ne 1$となるものは,$p$または$q$の倍数である. したがって$N$より小さい自然数$n$では
      \begin{displaymath}
\begin{array}{l}
p,\ 2p,\ 3p,\ \cdots,\ (q-1)p\\
q,\ 2q,\ 3q,\ \cdots,\ (p-1)q
\end{array}
\end{displaymath}

      である.
    2. $1\le n<N$の範囲で $gcd(N,\ n)\ne 1$となるものが(i)より
      \begin{displaymath}
(q-1)+(p-1)\ 個
\end{displaymath}

      ある.同じ範囲で$gcd(N,\ n)=1$となるものはそれらを除いたものである.
      \begin{displaymath}
∴\quad \phi(N)=pq-1-(q-1)-(p-1)=(p-1)(q-1)
\end{displaymath}

  1. $N=pq$なので(ii)から
    \begin{displaymath}
\phi(N)=N-(p+q)+1
\end{displaymath}

    つまり,
    \begin{displaymath}
p+q=N+1-\phi(N),\ pq=N
\end{displaymath}

    よって, $p$$q$を解としてもつ二次方程式は未知数を$x$とすれば次のようになる.
    \begin{displaymath}
x^2-\{N+1-\phi(N)\}x+N=0
\end{displaymath}


  2. \begin{displaymath}
N+1-\phi(N)=18426=2\cdot 9213
\end{displaymath}

    である.よって
    \begin{displaymath}
p,\ q=9213\pm\sqrt{9213^2-84754668}=9213\pm\sqrt{106276}=9539,\ 8887
\end{displaymath}

解答 23   問題23    
(1)
自然数 $m,\ n$ を7で割った商をそれぞれ $m',\ n'$, 余りをそれぞれ $i,\ j$ とおくと, $m=7m'+i,\ n=7n'+j$ と書けて
\begin{displaymath}
mn=(7m'+i)(7n'+j)=7(7m'n'+m'j+n'i)+ij
\end{displaymath}

より, $f(mn)=f(ij)$ を得る. そこで, これを用いて, 自然数 $n$ を7で割った余りで分類し, $n^2,\ n^3,\ \cdots,\ n^7$ を7で割った余りを順に求めていくと, 下表のようになる.
\begin{displaymath}
\begin{array}{\vert c\vert\vert c\vert c\vert c\vert c\ver...
...ine
n^7 & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 \\ \hline
\end{array}
\end{displaymath}

よって, すべての自然数 $n$ に対して
\begin{displaymath}
f(n^7)=f(n)
\end{displaymath}

注意 7        これは言うまでもなく「フェルマの小定理」そのものである.文系入試問題であるので,実際に7で割った余りの表を作ることで論証した.

他の演習問題にあるように,$n^7-n$ が7の倍数になることを$n$ に関する数学的帰納法で示すことができる.

(2)
(1)の結果より, すべての自然数 $k$ に対して, $k^7-k$ は7の倍数であるから
\begin{displaymath}
\sum_{k=1}^7 k^{n+6}-\sum_{k=1}^7 k^n=
\sum_{k=1}^7 k^{n-1}(k^7-k)=7l\quad (l\ は自然数)
\end{displaymath}


\begin{displaymath}
∴\quad g(n+6)=g(n)
\end{displaymath}

よって, $1\le n\le6$ の範囲で考えれば十分である. ここで, (1)の表を利用すると
\begin{eqnarray*}
&&g(1)=3f(1+2+3+4+5+6+0)=3f(21)=0\\
&&g(2)=3f(1+4+2+2+4+1+0...
...f(1+4+5+2+3+6+0)=3f(21)=0\\
&&g(6)=3f(1+1+1+1+1+1+0)=3f(6)=18
\end{eqnarray*}

となるから, $n=6$ をとれば
\begin{displaymath}
g(6)=18
\end{displaymath}

解答 24   問題24    
(1)
集合 $\{r_k\ \vert\ k \in A\}$$B$とする.$n$$p$が互いに素なので
\begin{displaymath}
r_k=0\quad \iff\quad
nkがpの倍数 \quad \iff\quad
kがpの倍数
\end{displaymath}

$1\le k\le p-1$よりこれはない. よって$0 \not\in B$である.従って$B\subset A$.次に$i,\ j\in A$に対して
\begin{displaymath}
r_i=r_j\quad \iff\quad n(i-j)がpの倍数
\quad \iff\quad i-j がpの倍数
\end{displaymath}

$-p+2\le i-j\le p-2$なので$i-j=0$. つまり$i\ne j$なら$r_i\ne r_j$

よって$B$$p-1$個の要素からなり, $A$の要素の個数と一致する.よって $B=A$である.

(2)
$k\in A$に対してある整数$q_k$を用いて $nk=pq_k+r_k$とおける.
\begin{displaymath}
(ni)(nj)=p(pq_iq_j+q_ir_j+q_jr_i)+r_ir_j
\end{displaymath}

であるから,
\begin{displaymath}
n\cdot 2n \cdot\cdots\cdot(p-1)n
=pN+r_1r_2\cdots r_{p-1}
\end{displaymath}

とある整数$N$を用いて表せる.$B=A$より
\begin{displaymath}
r_1r_2\cdots r_{p-1}=(p-1)!
\end{displaymath}

なので
\begin{displaymath}
n^{p-1}(p-1)!-(p-1)!=pN
\end{displaymath}

$(p-1)!$$p$は互いに素なので $n^{p-1}-1$$p$の倍数である.

解答 25   問題25    
(1)

\begin{displaymath}
r{}_p\mathrm{C}_r=\dfrac{rp!}{r!(p-r)!}=\dfrac{p(p-1)!}{(r-1)!\{(p-1)-(r-1)\}!}
=p{}_{p-1}\mathrm{C}_{r-1}
\end{displaymath}

上の等式の右辺は $p$ の倍数であるが, $r$$p$ は互いに素なので ${}_p\mathrm{C}_r$$p$ の倍数である.
(2)

\begin{displaymath}
2^p=(1+1)^p=1+\sum_{r=1}^{p-1}{}_p\mathrm{C}_r+1
\end{displaymath}

(1)より $2^p-2$$p$の倍数である.よって余りは$2\ (p>2)$$0(p=2)$である.
(3)
$n^p-n$$p$ の倍数であると推測される. これを, 数学的帰納法で示す.
(i)
$n=1$ は明らか. $n=2$ のときは(2)より成立
(ii)
$n=k$ のとき成立するとする. つまり
\begin{displaymath}
k^p-k=pMと整数Mを用いて表される.
\end{displaymath}

このとき
\begin{displaymath}
(1+k)^p=1+\sum_{r=1}^{p-1}{}_p\mathrm{C}_rk^r+k^p
=1+\sum_{r=1}^{p-1}{}_p\mathrm{C}_rk^r+pM+k
\end{displaymath}

ここで, $\displaystyle \sum_{r=1}^{p-1}{}_p\mathrm{C}_rk^r$$p$ の倍数なのでこれを整数 $N$ を用いて $pN$ とおく.
\begin{displaymath}
\begin{array}{c}
(1+k)^p=1+pN+k\\
∴\quad (k+1)^p-(k+1)=pN
\end{array}
\end{displaymath}

よって, $n=k+1$ のときも成立した.
(iii)
したがって, すべての自然数 $n$ に対して, $n^p$$n$$p$ で割った余りは等しい.

つまり, $n^p$$p$ で割った余りは $n$$p$ で割った余りである.

解答 26   問題26    
  1. $(x_1+x_2+\cdots+x_r)^p$の展開式は,式 $(x_1+x_2+\cdots+x_r)$$p$個並べ, それぞれから $x_1,\ x_2,\ \cdots,\ x_r$のいずれかを取り出してかけあわせ, 加えたものである. そのうち単項式 ${x_1}^{p_1}{x_2}^{p_2}\cdots{x_r}^{p_r}$ となるものは, $x_1,\ x_2,\ \cdots,\ x_r$がそれぞれ $p_1,\ p_2,\ \cdots,\ p_r$個取り出される場合だけあり,それらを加えた係数$N$は, その取り出し方の場合の数である.

    $N$ $x_1,\ x_2,\ \cdots,\ x_r$をそれぞれ $p_1,\ p_2,\ \cdots,\ p_r$個ずつを並べる場合の数である. その一つの並べ方に対して, $p_1,\ p_2,\ \cdots,\ p_r$個ずつある $x_1,\ x_2,\ \cdots,\ x_r$の一つ一つを区別すると $p_1!p_2!\cdots p_r!$個でき,それらの並べ方の総数が$p!$である.よって

    \begin{displaymath}
p_1!p_2!\cdots p_r!N=p!\ .
\end{displaymath}

    つまり ${x_1}^{p_1}{x_2}^{p_2}\cdots{x_r}^{p_r}$の係数$N$
    \begin{displaymath}
\dfrac{p!}{p_1!p_2!\cdots p_r!}
\quad\cdots\maru{1}
\end{displaymath}

    である. ここでは$p$が素数であることは用いていないので, $p_1+p_2+\cdots+p_r=p$であるような非負整数 $p_1,\ p_2,\ \cdots,\ p_r$に対して$\maru{1}$は 上記の場合の数として整数である.
  2. $p_1,\ p_2,\ \cdots,\ p_r$の中に0でないものがある.それを$p_j$とする.
    \begin{displaymath}
\dfrac{p!}{p_1!p_2!\cdots p_r!}
=\dfrac{p}{p_j}\cdot\dfrac{(p-1)!}{p_1!\cdots(p_j-1)!\cdots p_r!}
\end{displaymath}

    より

    \begin{displaymath}
p_j\cdot\dfrac{p!}{p_1!p_2!\cdots p_r!}
=p\cdot\dfrac{(p-1)!}{p_1!\cdots(p_j-1)!\cdots p_r!}
\end{displaymath}

    (1)の注意より両辺整数で右辺は$p$の倍数である. ここで$p$が素数とする.$p_j<p$であるなら$p$$p_j$は互いに素なので このとき $\dfrac{p!}{p_1!p_2!\cdots p_r!}$$p$の倍数である.


    \begin{displaymath}
(x_1+x_2+\cdots+x_r)^p-({x_1}^p+{x_2}^p+\cdots+{x_r}^p)
\quad\cdots\maru{2}
\end{displaymath}

    に現れる単項式 ${x_1}^{p_1}{x_2}^{p_2}\cdots{x_r}^{p_r}$は, そのすべての指数$p_j$$p_j<p$である. よってその係数は$p$の倍数であり, $x_1,\ x_2,\ \cdots,\ x_r$の正の整数を代入したならばその値は $p$の倍数になる.
  3. $\maru{2}$ $x_1,\ x_2,\ \cdots,\ x_r$にすべて1を代入する. (2)の結論から $r^p-r=r(r^{p-1}-1)$$p$の倍数である.$r$$p$と互いに素なので$r^{p-1}-1$$p$で割り切れる.

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Aozora
2015-03-02