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次: 円の場合を一般的に考える 上: ポンスレの定理 前: 三つの入試問題の分析

特別な場合に閉形定理を計算で示す

南海  $C_0$を円$x^2+y^2=1$とし,$C_1$
(i)
放物線$y=ax^2-b$$n=3$の場合.
(ii)
$(x-a)^2+y^2=r^2$2$n=3$の場合.
(iii)
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$$n=3$の場合.
(iv)
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$$n=4$の場合.
に分けて,計算で示してみよう.

放物線と円,$n=3$の場合

南海  これをできるだけ問題の形にまとめるので,それぞれ計算していってほしい. 解法は2通りありうる.
方法A:
特定の点$\mathrm{P}$で成立するための定数に関する必要条件を求め,それが任意の点で成立するための十分条件でもあることを示す方法.
方法B:
$C_1$上の点から多角形ができるために満たすべき方程式を求め, 少なくとも一つ成立する点があればそれが恒等式とならねばならず, そのための定数に関する条件が定まり, そのとき,恒等式であるので任意の点で成立することを示す方法.
の両方でやってみよう.

例題 1.4  

$C_0$を円$x^2+y^2=1$とし,$C_1$を放物線$C_1:y=ax^2-b$を考える. ここで定数は条件 $a>0,\ a+\dfrac{1}{4a}<b$を満たしているとする.

$x$座標が$\pm 1$と異なる$C_1$上の点 $\mathrm{P}(t,\ at^2-b)$から$C_0$にひとつの接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を $\mathrm{Q}(s,\ as^2-b)$とする. $\mathrm{Q}$から$C_0$$\mathrm{PQ}$とは異なる接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{R}$とする. $\mathrm{R}$から$C_0$$\mathrm{QR}$とは異なる接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{S}$とする.

  1. $C_0$$C_1$は共有点をもたないことを示し, $C_1$上の二点$\mathrm{P}$$\mathrm{Q}$に対し, 直線$\mathrm{PQ}$$C_0$と接するための$t$$s$に関する条件を求めよ.
  2. $\mathrm{S=P}$となるために$t$が満たすべき必要条件を求めよ.
  3. 方法A$\mathrm{P}$$(0,-b)$として,$\mathrm{S=P}$となる定数に関する必要条件を求め, この条件が成立するとき,$x$座標が$\pm 1$と異なる$C_1$上の任意の点$\mathrm{P}$に対して, 常に$\mathrm{S=P}$となることを示せ.
  4. 方法B]ある点$\mathrm{P}$$\mathrm{S=P}$となれば, (2)の方程式が恒等式になることを示し.そのための定数に関する条件を求め, そのとき任意の点$\mathrm{P}$$\mathrm{S=P}$となることを示せ.

拓生  やってみます.

解答

(1) $\left\{
\begin{array}{l}
x^2+y^2=1\\
y=ax^2-b
\end{array}
\right.$において$x^2$を消去する.

\begin{displaymath}
\dfrac{y+b}{a}+y^2=1
\end{displaymath}

この判別式について

\begin{displaymath}
D=\dfrac{1}{a^2}-\dfrac{4b}{a}+4
\end{displaymath}

ゆえに条件 $a+\dfrac{1}{4a}<b$のときは$D<0$である.$C_0$$C_1$は共有点をもたない.

$\mathrm{P}(t,\ at^2-b),\ \mathrm{Q}(s,\ as^2-b)$とする.直線$\mathrm{PQ}$の式は

\begin{displaymath}
(s-t)(y-at^2+b)=(as^2-at^2)(x-t)
\end{displaymath}

である.$s\ne t$なので両辺$s-t$で約して整理すると,

\begin{displaymath}
a(s+t)x-y-ast-b=0
\end{displaymath}

となる.この$\mathrm{PQ}$$C_0$に接する条件を求める.

\begin{displaymath}
\dfrac{\vert-ast-b\vert}{\sqrt{a^2(s+t)^2+1}}=1
\end{displaymath}

つまり

\begin{displaymath}
(ast+b)^2-a^2(s+t)^2-1=0
\end{displaymath}

これが求める条件である.

(2) 点 $\mathrm{P}(t,\ at^2-b)$とする.

\begin{displaymath}
T(s,\,t)=(ast+b)^2-a^2(s+t)^2-1
\end{displaymath}

とおく.$T(s,\,t)=0$$s$の二次方程式とみる. その解$s_1$,$s_2$に対して, $\mathrm{Q}(s_1,\,a{s_1}^2-b)$ $\mathrm{R}(s_2,\,a{s_2}^2-b)$とする. この2点は,点$\mathrm{P}$を通り$C_0$に接する直線を2本引いたとき,その接線の$C_1$との交点である.$\mathrm{S=P}$となることは,$\mathrm{QR}$が再び$C_0$と接すること,すなわち

\begin{displaymath}
T(s_1,\,s_2)=0
\end{displaymath}

と同値である.

\begin{displaymath}
T(s,\,t)=a^2(t^2-1)s^2+2a(b-a)ts+b^2-a^2t^2-1
\end{displaymath}

で,$t\ne \pm 1$であるから

\begin{displaymath}
s_1+s_2=\dfrac{-2a(b-a)t}{a^2(t^2-1)},\ \ s_1s_2=\dfrac{b^2-a^2t^2-1}{a^2(t^2-1)}
\end{displaymath}

\begin{eqnarray*}
T(s_1,\,s_2)&=&\left(\dfrac{b^2-a^2t^2-1}{a(t^2-1)}+b\right)^...
...b-a)t^2+b(b-a)-1\}^2-4a^2(b-a)^2t^2-a^2(t^2-1)^2}{a^2(t^2-1)^2}
\end{eqnarray*}

したがって$\mathrm{S=P}$となるための $\mathrm{P}(t,\ at^2-b)$に関する必要十分条件は

\begin{displaymath}
\{a(b-a)t^2+b(b-a)-1\}^2-4a^2(b-a)^2t^2-a^2(t^2-1)^2=0
\end{displaymath}

である.以下このように$t$に関する条件を示す式を$H(t)$とおこう.

\begin{displaymath}
H(t)=\{a(b-a)t^2+b(b-a)-1\}^2-4a^2(b-a)^2t^2-a^2(t^2-1)^2
\end{displaymath}

(3)

対称性から$\mathrm{S=P}$となるために点$\mathrm{Q}$$y$座標は1でなければならない. $\mathrm{Q}\left(\sqrt{\dfrac{b+1}{a}},\ 1\right)$とする. 直線$\mathrm{PQ}$が円$C_0$に接すればよい.$\mathrm{PQ}$の傾きは

\begin{displaymath}
\dfrac{b+1}{\sqrt{\dfrac{b+1}{a}}}=\sqrt{a(b+1)}
\end{displaymath}

であるから

\begin{displaymath}
\mathrm{PQ}:y=\sqrt{a(b+1)}x-b
\end{displaymath}

これが$C_0$と接するので,中心との距離が半径に一致する.

\begin{displaymath}
\dfrac{\vert b\vert}{\sqrt{a(b+1)+1}}=1
\end{displaymath}

これから$b^2=a(b+1)+1$,つまり$b^2-1=a(b+1)$.条件から$b>0$なので,$b+1\ne 0$

\begin{displaymath}
b-a=1
\end{displaymath}

南海  名古屋大学の問題は確かにこの条件を満たしてる.

拓生  はい. $b-a=1$のとき(2)の条件は

\begin{displaymath}
(at^2+a)^2-4a^2t^2-a^2(t^2-1)^2=0
\end{displaymath}

となり,左辺は恒等的に0なので,任意の$t$で成立する. つまり任意の点$\mathrm{P}$で, $\mathrm{P}=\mathrm{S}$が成立し, 条件$b-a=1$が十分条件であることが示された.

(4)

(2)の条件式$H(t)$を変形する.

\begin{eqnarray*}
H(t)&=&a^2\{(b-a)^2-1\}t^4+2[ab(b-a)^2-a(b-a)-2a^2(a-b)^2+a^2]t^2\\
&&+\{b(b-a)-1\}^2-a^2
\end{eqnarray*}

ここで$t^2$の係数の$[]$内は

\begin{eqnarray*}
&&ab(b-a)^2-a(b-a)-2a^2(a-b)^2+a^2\\
&=&a^3(b-2a)-2a^2b(b-2...
...2a)-a(b-2a)\\
&=&a(b-2a)(b^2-2ab+a^2-1)=a(b-2a)(b-a-1)(b-a+1)
\end{eqnarray*}

また定数項は

\begin{eqnarray*}
&&\{b(b-a)-1\}^2-a^2\\
&=&\{b^2-ab-1-a\}\{b^2-ab-1+a\}\\
&=&(b+1)(b-a-1)(b-1)(b-a+1)
\end{eqnarray*}

ゆえに

\begin{displaymath}
H(t)=(b-a-1)(b-a+1)\{a^2t^4+2a(b-2a)t^2+b^2-1\}
\end{displaymath}

となる.ここで$t$の複二次式$H(t)$の判別式をとると

\begin{eqnarray*}
D/4&=&a^2(b-2a)^2-a^2(b^2-1)\\
&=&a^2(4a^2-4ab+1)
\end{eqnarray*}

$a+\dfrac{1}{4a}<b$より,$D<0$である.つまり(2)の条件式は実数解をもたない. ところが少なくとも一つ$\mathrm{S=P}$となる点$\mathrm{P}$が存在した. つまり(2)の条件式に実数解が存在する. (2)の条件式は4次式で,少なくとも5つの解をもつので恒等的に0で係数はすべて0となり, $(b-a-1)(b-a+1)=0$である. $a+\dfrac{1}{4a}<b$なので$b=a+1$である. このとき任意の点$\mathrm{P}$に対して(2)の条件式が成立し,$\mathrm{S=P}$となる. □

円と円の場合

拓生  結局方法Bでやればいいのですね.

南海  その通り.円と円の場合も次のように考えよう.

例題 1.5  

$r,\ a$$0<a<r-1$を満たす正の定数とする. $xy$平面の二つの円 $C_0\ :\ x^2+y^2=1,\ C_1\ :\ (x-a)^2+y^2=r^2$がある.

$C_1$上の一点$\mathrm{P}$から$C_0$にひとつの接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{Q}$とする. $\mathrm{Q}$から$C_0$$\mathrm{PQ}$とは異なる接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{R}$とする. $\mathrm{R}$から$C_0$$\mathrm{QR}$とは異なる接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{S}$とする.

  1. $C_1$上の点$\mathrm{P}$は, $(-r+a,\ 0)$を除き $\left(\dfrac{r(1-t^2)}{1+t^2}+a,\ \dfrac{2rt}{1+t^2}\right)$と媒介変数表示できることを示せ.また, $\mathrm{P}\left(\dfrac{r(1-t^2)}{1+t^2}+a,\ \dfrac{2rt}{1+t^2}\right)$ $\mathrm{Q}\left(\dfrac{r(1-s^2)}{1+s^2}+a,\ \dfrac{2rs}{1+s^2}\right)$ とするとき,直線$\mathrm{PQ}$$C_0$と接するための$t$$s$に関する条件を求めよ.
  2. $\mathrm{S=P}$となるために$t$が満たすべき必要条件を求めよ.
  3. (2)の方程式は少なくとも一つの実数解をもてば恒等式になることを示し. ある点$\mathrm{P}$$\mathrm{S=P}$となれば, 任意の点$\mathrm{P}$$\mathrm{S=P}$となることを示せ.

拓生  やってみます.

解答

(1)

\begin{eqnarray*}
\cos\theta&=&\cos^2 \dfrac{\theta}{2}
-\sin^2 \dfrac{\thet...
...ta}{2}\cdot2\tan
\dfrac{\theta}{2} \\
&=&\dfrac{2t}{1+t^2}
\end{eqnarray*}

である. $\tan \dfrac{\theta}{2}=t$によって $\cos \theta=\dfrac{1-t^2}{1+t^2}$ $\sin \theta=\dfrac{2t}{1+t^2}$と表される. すべての実数に対して, $\dfrac{1-t^2}{1+t^2}\ne -1$なので, 円$C_1$上の点は$(-r+a,\ 0)$を除いて $\left(\dfrac{r(1-t^2)}{1+t^2},\ \dfrac{2rt}{1+t^2}\right)$と表される.

$\mathrm{P}\left(\dfrac{r(1-t^2)}{1+t^2}+a,\ \dfrac{2rt}{1+t^2}\right)$ $\mathrm{Q}\left(\dfrac{r(1-s^2)}{1+s^2}+a,\ \dfrac{2rs}{1+s^2}\right)$ のとき直線$\mathrm{PQ}$の方程式は

\begin{eqnarray*}
&&\left(\dfrac{2rs}{1+s^2}- \dfrac{2rt}{1+t^2}\right)\left\{x...
...r(1-t^2)}{1+t^2} \right\}
\left(y- \dfrac{2rt}{1+t^2}\right)=0
\end{eqnarray*}

つまり

\begin{displaymath}
(st-1)(x-a)-(s+t)y+r(st+1)=0
\end{displaymath}

したがって直線$\mathrm{PQ}$が円$C_1$に接するための条件は

\begin{displaymath}
\dfrac{\vert(r-a)st+r+a\vert}{\sqrt{(st-1)^2+(s+t)^2}}=1
\end{displaymath}

ゆえに求める$s,\ t$の条件は

\begin{displaymath}
\{(r-a)st+r+a\}^2-(st-1)^2-(s+t)^2=0
\end{displaymath}

(2)

\begin{displaymath}
T(s,\,t)=\{(r-a)st+r+a\}^2-(st-1)^2-(s+t)^2
\end{displaymath}

とおく.

\begin{eqnarray*}
T(s,\,t)&=&\{(r-a)st+r+a\}^2-(st-1)^2-(s+t)^2\\
&=&
[\{(r-a)^2-1\}t^2-1]s^2+2(r^2-a^2)ts+(r+a)^2-t^2-1
\end{eqnarray*}

となる.

拓生  $s^2$の係数が0でないことが確認できません.

南海  ここを厳密にやるには,$s$$t$そのものを射影直線上の媒介変数としなければならない. ここでは, P,Qが一般の位置にあるとして計算し,そのあと極限をとるという考え方でゆこう.

拓生  続けます. $T(s,\,t)=0$$s$の2次方程式と見たときその2解$s_1,\ s_2$は,

\begin{displaymath}
s_1+s_2=\dfrac{-2(r^2-a^2)t}{\{(r-a)^2-1\}t^2-1},\
s_1s_2=\dfrac{(r+a)^2-t^2-1}{\{(r-a)^2-1\}t^2-1}
\end{displaymath}

である.このとき

\begin{displaymath}
s_1s_2-1=\dfrac{(r+a)^2-t^2-1-\{(r-a)^2-1\}t^2+1}{\{(r-a)^2-1\}t^2-1}
=\dfrac{(r+a)^2-(r-a)^2t^2}{\{(r-a)^2-1\}t^2-1}
\end{displaymath}

なので

\begin{eqnarray*}
(s_1+s_2)^2+(s_1s_2-1)^2
&=&\dfrac{4(r^2-a^2)^2t^2+\{(r+a)^2...
...\
&=&\dfrac{\{(r+a)^2+(r-a)^2t^2\}^2}{[\{(r-a)^2-1\}t^2-1]^2}
\end{eqnarray*}

したがって

\begin{displaymath}
T(s_1,\,s_2)=0
\end{displaymath}

より

\begin{eqnarray*}
H(t)&=&<(r-a)\{(r+a)^2-t^2-1\}+(r+a)[\{(r-a)^2-1\}t^2-1]>^2\\
&&-\{(r+a)^2+(r-a)^2t^2\}^2
\end{eqnarray*}

である. $H(t)=0$$\mathrm{S=P}$となるために$t$が満たすべき必要条件である.

(3)

$H(t)$を整理する.

\begin{eqnarray*}
H(t)&=&
<(r-a)\{(r+a)^2-t^2-1\}+(r+a)[\{(r-a)^2-1\}t^2-1]\\ ...
...&=&\{(r^2-a^2)^2-4r^2\}\{(r-a+1)t^2+r+a+1\}\{(r-a-1)t^2+r+a-1\}
\end{eqnarray*}

ところが$0<r-a-1$のもとでは

\begin{displaymath}
r-a+1>0,\ r+a+1>0,\ r-a-1>0,\ r+a-1>0
\end{displaymath}

なので,

\begin{displaymath}
\{(r-a+1)t^2+r+a+1\}\{(r-a-1)t^2+r+a-1\}=0
\end{displaymath}

は実数解をもたない. ところが少なくとも一つ$\mathrm{S=P}$となる点$\mathrm{P}$が存在した. ゆえに(2)の条件式は恒等式であり, $\{(r+a)(r-a)-(r+a)-(r-a)\}\{(r+a)(r-a)+(r+a)+(r-a)\}=0$である. $(r+a)(r-a)+(r+a)+(r-a)>0$なので

\begin{displaymath}
(r+a)(r-a)-(r+a)-(r-a)=0
\end{displaymath}

である.この条件は

\begin{displaymath}
\dfrac{1}{r+a}+\dfrac{1}{r-a}=1
\end{displaymath}

あるいは

\begin{displaymath}
2r=r^2-a^2
\end{displaymath}

とも書ける. このとき$(-r+a,\ 0)$を除く任意の点$\mathrm{P}$に対して(2)の条件式が成立し,$\mathrm{S=P}$となる. $\mathrm{P}$が連続的に変化すれば$\mathrm{S}$も連続的に変化する. ゆえに$(-r+a,\ 0)$を除く任意の点$\mathrm{P}$に対して$\mathrm{S=P}$となるなら, $\mathrm{P}$$(-r+a,\ 0)$のときも$\mathrm{S=P}$となる. □

南海  これは,ポンスレの定理の起源となる場合である.

拓生  $a$ は外接円と内接円の中心間の距離で,外接円の半径$r$と内接円の半径1の間に成り立つ関係です.
一般的に,外接円の半径を $R$,内接円の半径を $r$ とし,外心,内心を $\mathrm{O},\ \mathrm{I}$ とすると, \[ \mathrm{OI}^2=R^2-2Rr \] が成り立ちます.これは2012年の宮崎大に出題され, 京大でも,2002年,2006年,そして2017年に関連問題が出題, 2018年には東北大学でも出題されています.
チャップルの定理というのではないでしょうか.

南海  チャップルは三角形に内接する円と外接する円の,中心間と半径の相互関係として, 上記定理を導いたのだろう.
しかしこの関係式は円の相互関係のみで記されており, 三角形は関与していない.

拓生  確かにそうです.

南海  ポンスレはこのことから,この関係式を満たす2円に対して, つねに一方に外接し一方に内接する三角形が存在すること, そしてさらに,三角形の頂点の一つが任意の選べることに至ったのではないかと思われる. さらにそれを2つの2次曲線,3に変えて $n$ と一般化していったのではないか.

拓生  そう考えると,これは確かにポンスレの定理の起源になるのですね.

中心の一致する楕円と円,$n=3$の場合

南海  それでは次に円と楕円の場合に進もう. 東大の過去問もあるので$n=3$の場合だけではなく$n=4$の場合も考えたい. $n=3$の場合は基本的には円と円の場合と同様だ.

例題 1.6  

$xy$平面の円と楕円 $C_0\ :\ x^2+y^2=1,\ C_1\ :\ \dfrac{x^2}{a^2}+ \dfrac{y^2}{b^2}=1$がある.

定数は条件$1<a,\ 1<b$を満たしているとする.

$C_1$上の一点$\mathrm{P}$から$C_0$にひとつの接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{Q}$とする. $\mathrm{Q}$から$C_0$$\mathrm{PQ}$とは異なる接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{R}$とする. $\mathrm{R}$から$C_0$$\mathrm{QR}$とは異なる接線をひき, その延長が再び$C_1$と交わる点を$\mathrm{S}$とする.

  1. $C_1$上の点$\mathrm{P}$$(-a,\ 0)$を除き $\left(\dfrac{a(1-t^2)}{1+t^2},\ \dfrac{2bt}{1+t^2}\right)$と 媒介変数表示できることを示せ.

    また, $\mathrm{P}\left(\dfrac{a(1-t^2)}{1+t^2},\ \dfrac{2bt}{1+t^2}\right)$ $\mathrm{Q}\left(\dfrac{a(1-s^2)}{1+s^2},\ \dfrac{2bs}{1+s^2}\right)$ とするとき,直線$\mathrm{PQ}$$C_0$と接するための$t$$s$に関する条件を求めよ.

  2. $\mathrm{S=P}$となるために$t$が満たすべき必要条件を求めよ.
  3. (2)の方程式は少なくとも一つの実数解をもてば恒等式になることを示し. ある点$\mathrm{P}$$\mathrm{S=P}$となれば, 任意の点$\mathrm{P}$$\mathrm{S=P}$となることを示せ.

拓生  これもできそうです.

解答

(1)

楕円$C_1$上の点の座標は $(a\cos\theta,\ b\sin\theta)$ と表されるので, これを$t$で表すと,

\begin{displaymath}
\left(\dfrac{a(1-t^2)}{1+t^2},\ \dfrac{2bt}{1+t^2}\right)
\end{displaymath}

となる. ただし, $\theta=\pi$に対応する点, すなわち$(-a,\ 0)$は表し得ない.

\begin{displaymath}
\mathrm{P}\left(\dfrac{a(1-t^2)}{1+t^2},\
\dfrac{2bt}{1+t...
...rac{a(1-s^2)}{1+s^2},\ \dfrac{2bs}{1+s^2}\right)\quad(t\ne s)
\end{displaymath}

とおくと, 直線$\mathrm{PQ}$の方程式は,

\begin{eqnarray*}
&& \left(\dfrac{2bs}{1+s^2}- \dfrac{2bt}{1+t^2}\right)
\le...
...frac{a(1-t^2)}{1+t^2}\right\}\left(y- \dfrac{2bt}{1+t^2}\right)
\end{eqnarray*}

\begin{eqnarray*}
&&∴\,\, 2b\{s(1+t^2)-t(1+s^2)\}\{(1+t^2)x-a(1-t^2)\} \\
&&-a\{(1-s^2)(1+t^2)-(1-t^2)(1+s^2)\}\{(1+t^2)y-2bt\}=0
\end{eqnarray*}

ここで,

\begin{eqnarray*}
&&s(1+t^2)-t(1+s^2)\\
&=&(s-t)-st(s-t)=(s-t)(1-st) \\
&&(1-s^2)(1+t^2)-(1-t^2)(1+s^2)\\
&=&-2(s^2-t^2)=-2(s-t)(s+t)
\end{eqnarray*}

であり, $s\ne t$であるから,

\begin{displaymath}
\mathrm{PQ}\,:\,b(1-st)\{(1+t^2)x-a(1-t^2)\}+a(s+t)\{(1+t^2)y-2bt\}=0
\end{displaymath}

この定数項を計算すると,

\begin{eqnarray*}
&&-ab(1-st)(1-t^2)-2ab(s+t)t \\
&=&-ab(1+st+t^2+st^3)=-ab(1+st)(1+t^2)
\end{eqnarray*}

となるので,

\begin{displaymath}
\mathrm{PQ}\,:\,b(1-st)x+a(s+t)y-ab(1+st)=0
\end{displaymath}

これが円$C_0$と接するための必要十分条件は, 原点とこの直線との距離が1になる ことであるから,求める必要十分条件は

\begin{displaymath}
\dfrac{\vert\,ab(1+st)\,\vert}{\sqrt{b^2(1-st)^2+a^2(s+t)^2}}=1
\end{displaymath}


\begin{displaymath}
b^2(1-st)^2+a^2(s+t)^2-a^2b^2(1+st)^2=0
\end{displaymath}

が求める条件である.

(2)

\begin{displaymath}
T(t,\ s)=a^2(s+t)^2+b^2(1-st)^2-a^2b^2(1+st)^2=0
\end{displaymath}

とおく.これを$s$について整理する.

\begin{displaymath}
T(t,\ s)=(a^2+b^2t^2-a^2b^2t^2)s^2+2(a^2-b^2-a^2b^2)ts+(a^2t^2+b^2-a^2b^2)
\end{displaymath}

で, $T(t,\ s)=0$$t,\ s$の両方に関する二次以下の方程式である. ある実数$t$に対して, この方程式を$s$についての方程式とみたときの 解$s$が, $\mathrm{P}(t)$から円$C_0$に引いた接線が $C_1$と交わった ときの$C_1$上の点$\mathrm{Q}$を与える.

ここでも $a^2+b^2t^2-a^2b^2t^2\ne 0$とする. このとき$T(t,\ s)=0$$s$の二次方程式で, $s_1,\ s_2$がその2解となるので, 解と係数の関係より,

\begin{displaymath}
s_1+s_2= \dfrac{-2(a^2-b^2-a^2b^2)t}{a^2+b^2t^2-a^2b^2t^2},\quad
s_1s_2= \dfrac{a^2t^2+b^2-a^2b^2}{a^2+b^2t^2-a^2b^2t^2}
\end{displaymath}

$\mathrm{P}$が満たすべき条件は円と円の場合と同様に

\begin{displaymath}
T(s_1,\ s_2)=0
\end{displaymath}

となることである. ところで,

\begin{eqnarray*}
T(s_1,\ s_2)
&=&a^2\left\{\dfrac{-2t(a^2-b^2-a^2b^2)}{a^2+...
...^2 \\
&& -a^2b^2(a^2+b^2t^2-a^2b^2t^2+a^2t^2+b^2-a^2b^2)^2\}
\end{eqnarray*}

そこで, この$\{\quad\}$内を$H(t)$とおく.これを$t$の式として整理すると,

\begin{eqnarray*}
H(t)&=&\{b^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2-a^2b^2(a^2+b^2-a^2b^2)^2\}t^4...
...^2\}t^2 \\
&&+b^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2-a^2b^2(a^2+b^2-a^2b^2)^2
\end{eqnarray*}

となる. この各項の係数を因数分解する.$t^4$の係数と定数係数は同一で,

\begin{eqnarray*}
&&b^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2-a^2b^2(a^2+b^2-a^2b^2)^2 \\
&=&(a...
...(ab+b-a) \\
&=&b^2(1+a)(1-a)(ab+a+b)(ab+a-b)(ab-a+b)(ab-a-b)
\end{eqnarray*}

また, $t^2$の係数について,

\begin{eqnarray*}
&&2a^2(a^2-b^2-a^2b^2)^2-b^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2-a^2b^2(a^2+b^...
...^2)^2\} \\
&&+b^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2-a^2b^2(a^2+b^2-a^2b^2)^2
\end{eqnarray*}

ここで,

\begin{eqnarray*}
&&a^2(a^2-b^2-a^2b^2)^2-b^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2 \\
&=&(a^3-...
...ab)(a-b-ab) \\
&=&(a+b)(a-b)(ab+a+b)(ab+a-b)(ab-a+b)(ab-a-b)
\end{eqnarray*}

であるから,

\begin{eqnarray*}
&&2a^2(a^2-b^2-a^2b^2)^2-b^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2-a^2b^2(a^2+b^...
...2)\} \\
&=&(ab+a+b)(ab+a-b)(ab-a+b)(ab-a-b)(2a^2-b^2-a^2b^2)
\end{eqnarray*}

したがって

\begin{eqnarray*}
H(t)&=&(ab+a+b)(ab+a-b)(ab-a+b)(ab-a-b) \\
&&\times \{b^2(1-a^2)t^4+2(2a^2-b^2-a^2b^2)t^2+b^2(1-a^2)\}
\end{eqnarray*}

条件は$H(t)=0$である.

(3)

\begin{displaymath}
b^2(1-a^2)t^4+2(2a^2-b^2-a^2b^2)t^2+b^2(1-a^2)=0
\end{displaymath}

の判別式をとると

\begin{displaymath}
D/4=(2a^2-b^2-a^2b^2)^2-b^4(1-a^2)^2=4a^2(a^2-b^2)(1-b^2)
\end{displaymath}

$1<b$なので,$a>b$なら$D<0$である.

$a\le b$のとき,$H(t)$$t^2$の二次式と見たときの軸は

\begin{displaymath}
-\dfrac{2a^2-b^2-a^2b^2}{b^2(1-a^2)}=-\dfrac{a^2-b^2+a^2(1-b^2)}{b^2(1-a^2)}<0
\end{displaymath}

となる.(2)の条件式は$t^4$の係数が0でないので,$t^2$の二次方程式となる. その二次方程式の2解の積は1なので, この場合$t^2$の二次方程式は負の2解をもつ. つまり(2)の条件式は$t$の四次方程式として実数解をもたない. ところが少なくとも一つ$\mathrm{S=P}$となる点$\mathrm{P}$が存在した. ゆえに(2)の条件式は恒等的に0でなければならず,

\begin{displaymath}
(ab+a+b)(ab+a-b)(ab-a+b)(ab-a-b)=0
\end{displaymath}

である.$a>1, \ b>1$だから,

\begin{eqnarray*}
&&ab+a+b>0 \\
&&ab+a-b=b(a-1)+a>0 \\
&&ab-a+b=a(b-1)+b>0
\end{eqnarray*}

したがって, 求める条件は,

\begin{displaymath}
ab=a+b\quad\Longrightarrow \quad\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}=1
\end{displaymath}

である.□

南海  ここで一つ注意したい. (3)で求めた$H(t)$の定数を除いた部分は (2)で求めた$T(t,\ s)$において

\begin{displaymath}
\lim_{s \to t}T(t,\ s)
\end{displaymath}

としたものだ.

拓生  本当だ.これは接線の定義から $\mathrm{P}(t)\mathrm{P}(s)$$\mathrm{P}(t)$での接線になるのですね. ということはこの場合$H(t)=0$$C_0$$C_1$の共通接線を与える$t$の条件ということになります.

南海  その意味は後に考えよう.

中心の一致する楕円と円,$n=4$の場合

南海  $n=4$についても同様にするためには,「消去法」が必要で, これは私の方から提起したい.次の問題である.

補題 1  

$s$に関する二つの二次式

\begin{displaymath}
As^2+Bs+C=0, \ A's^2+B's+C'=0
\end{displaymath}

から$s$を消去すれば

\begin{displaymath}
(AC'-A'C)^2=(BC'-B'C)(AB'-A'B)
\end{displaymath}

となる.

証明

$As^2+Bs=-C, \ A's^2+B's=-C'$より,

\begin{displaymath}
AA's^2+BA's=-A'C, \ AA's^2+AB's=-AC'
\end{displaymath}


\begin{displaymath}
∴(BA'-B'A)s=AC'-A'C\cdots\maru{1}
\end{displaymath}

また,

\begin{displaymath}
AB's^2+BB's=-B'C, \ A'Bs^2+BB's=-BC'
\end{displaymath}


\begin{displaymath}
∴(AB'-A'B)s^2=BC'-B'C\cdots\maru{2}
\end{displaymath}

そこで, $\maru{2}$の両辺に$AB'-A'B$をかけると, $\maru{1}$の左辺の2乗に一致する. すなわち,

\begin{displaymath}
(AB'-A'B)(BC'-B'C)=(AB'-A'B)^2s^2=(AC'-A'C)^2
\end{displaymath}

である.□

南海  さて,$n=4$のときは,$T(t,\ s)=0$$T(s,\ u)=0$を考える. これから$s$を消去する. すると$\mathrm{P}$から2回目の操作で定まる点の座標を与える2次方程式が得られるはずだ.

この2次方程式が重解をもてば,つまり図で$u_1=u_2$となれば,確かに4回で閉じる. それが$\mathrm{P}$を頂点とし,$C_0$に外接し,$C_1$に内接する四角形が存在するための$\mathrm{P}$ に関する必要十分条件になるはずだ.


拓生  やってみます. $T(t,\ s)=0,\ T(s,\ u)=0$から$s$を消去し, $t \ne u$の条件の下で$t,\ u$の関係式を求める.

\begin{eqnarray*}
&&T(t,\ s) \\
&=&(a^2+b^2t^2-a^2b^2t^2)s^2+2(a^2-b^2-a^2b...
...^2+b^2u^2-a^2b^2u^2)s^2+2(a^2-b^2-a^2b^2)us+(a^2u^2+b^2-a^2b^2)
\end{eqnarray*}

となるから,これより$s$を消去する.

\begin{eqnarray*}
&& (AC'-A'C)^2 \\
&=&\{(a^2+b^2t^2-a^2b^2t^2)(a^2u^2+b^2-...
...ut(u-t)\} \\
&=&2(a^2-b^2-a^2b^2)(u-t)\{a^2-(b^2-a^2b^2)ut\}
\end{eqnarray*}

よって,

\begin{eqnarray*}
&& \{(t+u)(t-u)(a^2b^2-b^2+a^2)(a^2b^2-b^2-a^2)\}^2 \\
&=...
... \\
&& \times \,2(a^2-b^2-a^2b^2)(u-t)\{a^2-(b^2-a^2b^2)ut\}
\end{eqnarray*}

ゆえに

\begin{eqnarray*}
&& (t+u)^2(t-u)^2\\
&&\times (a^2b^2-b^2+a^2)^2(a^2b^2-b^...
...^2 \\
&& \times \{a^2tu-(b^2-a^2b^2)\}\{a^2-(b^2-a^2b^2)ut\}
\end{eqnarray*}

したがって, $t \ne u$より,

\begin{eqnarray*}
&& (t+u)^2(a^2-b^2+a^2b^2)^2(a^2+b^2-a^2b^2)^2 \\
&=&4(a^...
...(b^2-a^2b^2)t^2u^2+\{a^4+(b^2-a^2b^2)^2\}ut
-a^2(b^2-a^2b^2)]
\end{eqnarray*}

さて,$\mathrm{P}$を一つの頂点とし, $C_0$に外接しかつ$C_1$に内接する四辺形がつくられるための 条件は, 今求めた等式を$u$に関する二次方程式と見たとき,$u$がただ一つだけ存在することである. そこで, この等式を$u$について整理する.

\begin{eqnarray*}
&&\{(a^2-b^2+a^2b^2)^2(a^2+b^2-a^2b^2)^2
+4a^2(a^2-b^2-a^2...
...b^2)^2(b^2-a^2b^2)
+(a^2-b^2+a^2b^2)^2(a^2+b^2-a^2b^2)^2t^2=0
\end{eqnarray*}

すなわち,

\begin{eqnarray*}
&&[\{a^4-b^4(1-a^2)^2\}^2
+4a^2b^2\{a^2-b^2(1+a^2)\}^2(1-a...
...^2b^2(1-a^2)\{a^2-b^2(1+a^2)\}^2
+\{a^4-b^4(1-a^2)^2\}^2t^2=0
\end{eqnarray*}

となる.この$u$の二次方程式の判別式を$D_2$とおく.

\begin{eqnarray*}
D_2/4
&=&t^2[\{a^4-b^4(1-a^2)^2\}^2-2\{a^2-b^2(1+a^2)\}^2\...
...
&& -4a^2b^2(1-a^2)\{a^2-b^2(1+a^2)\}^2\{a^4-b^4(1-a^2)^2\}^2
\end{eqnarray*}

そこで, $t^2$の係数を因数分解すると,

\begin{eqnarray*}
&&4\{a^2-b^2(1+a^2)\}^4\{a^4+b^4(1-a^2)^2\}^2 \\
&& -4\{a...
...^2(1+a^2)\}^2\{a^4-b^4(1-a^2)^2\}^2\,\cdot\,2a^2b^2(2b^2-a^2-1)
\end{eqnarray*}

したがって,

\begin{eqnarray*}
D_2/4
&=&-4\{a^2-b^2(1+a^2)\}^2\{a^4-b^4(1-a^2)^2\}^2 \\ 
...
...^2\}^2a^2b^2\\
&&\times[(a^2-1)t^4+2(2b^2-a^2-1)t^2+(a^2-1)]
\end{eqnarray*}

となる.

拓生  $D_2/4=0$$t$が満たすべき条件式です. そこで,

\begin{eqnarray*}
H(t)&=&4\{a^2-b^2(1+a^2)\}^2\{a^4-b^4(1-a^2)^2\}^2a^2b^2\\
&&\times[(a^2-1)t^4+2(2b^2-a^2-1)t^2+(a^2-1)]
\end{eqnarray*}

とします. ここで$t^2$の二次式

\begin{displaymath}
(a^2-1)t^4+2(2b^2-a^2-1)t^2+(a^2-1)=0
\end{displaymath}

の判別式を$D$とすると,

\begin{eqnarray*}
D/4&=&(2b^2-a^2-1)^2-(a^2-1)^2\\
&=&4(b^2-a^2)(b^2-1)
\end{eqnarray*}

$1<b$なので,$a>b$なら$D<0$である.

$a\le b$のとき,$H(t)$$t^2$の二次式と見たときの軸は

\begin{displaymath}
-\dfrac{2b^2-a^2-1}{a^2-1}=-\dfrac{b^2-a^2+b^2-1}{a^2-1}<0
\end{displaymath}

となる.$H(t)$$t^2$の二次方程式と見たときの2解の積は1なので, この場合$t^2$の2次方程式は負の2解をもつ. つまり$H(t)=0$$t$の4次方程式として実数解をもたない. もし$H(t)=0$となる$t$が1点でも存在すれば,$H(t)$が恒等的に0とならねばならない. このとき任意の$t$に対して$\mathrm{P}$を頂点とする四辺形が存在する. よって, 求める条件は,

\begin{eqnarray*}
&&\{a^2-b^2(1+a^2)\}\{a^4-b^4(1-a^2)^2\} \\
&=&(a^2-b^2-a^2b^2)(a^2+b^2-a^2b^2)(a^2-b^2+a^2b^2)=0
\end{eqnarray*}

そして, $a>1, \ b>1$なので,

\begin{displaymath}
a^2+b^2-a^2b^2=0
\quad\Longrightarrow \quad
\dfrac{1}{a^2}+\dfrac{1}{b^2}=1
\end{displaymath}

となる.□

南海  ここで得られた条件は,東大の問題の結果と同じだ.

拓生  $n=3$のときの$H(t)$$n=4$のときの$H(t)$の式は違いますが, その判別式の正負は同じです.

南海  そうだ.その意味は何かあるのだろうが宿題にしておこう.


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