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ところで,試合の終わる回数は?

Tを優勝が決定する回数を表す確率変数とします.

まずは


\begin{align*}E(T) &=\sum_{k=1}^{\infty} kP(T=k) \\
&=\sum_{k=1}^{\infty} P(T\ge k)
\end{align*}

と変形します.

1行目から2行目の変形は


\begin{align*}\sum_{k=1}^{\infty} P(T\ge k)
&= \sum_{k=1}^\infty \sum_{j=k}^\in...
...{j=1}^\infty \sum_{k=1}^j P(T=j) \\
&= \sum_{j=1}^\infty j P(T=j)
\end{align*}

です.3

以下, $k\ge 1$に対して $P(T\ge k)$を考えます.

最短で優勝が決まるのは n-1回目ですから


 \begin{displaymath}
\boxed{
P(T\ge 1)=P(T\ge 2)=\cdots
=P(T\ge n-1)=1
}\end{displaymath} (9)

が成り立ちます.

また,


 \begin{displaymath}
\boxed{
\lim_{N\to\infty} P(T\ge N)=0
}\end{displaymath} (10)

も注意しておきましょう.

さて,$k \ge n$のとき,1回目に勝利したものが いつ負けるかを考えます.

$k \ge n$だから必ずn-1回目までに負けるので


\begin{align*}P(T\ge k)&=
P(T\ge k \text{かつ\quad $1$ 回目に勝利のものが$2$ 回脈..
...(T\ge k-2)+\cdots \\
&\cdots\cdots +(\frac12)^{n-2}P(T\ge k-(n-2))
\end{align*}

つまり


 \begin{displaymath}
\boxed{
\begin{split}
P(T\ge k)=\frac12 P(T\ge k-1)+&
(\frac...
...\cdots \\
&\cdots +(\frac12)^{n-2}P(T\ge k-(n-2))
\end{split}}\end{displaymath} (11)

が成り立つ.4

(15)の$k=n\sim N$までの和をとります. (13)に注意して,


\begin{align*}\sum _{k=n}^N P(T\ge k)&=
\frac12 \sum _{k=n}^NP(T\ge k-1)+
(\frac...
...-\left(
\text{$P(k\ge N),\ldots ,P(k\ge N-(n-1))$ の線型和}
\right)
\end{align*}

$N\to\infty$としたとき,(14)より 最終項は0に収束する.

したがって,


\begin{displaymath}\sum _{k=n}^N P(T\ge k)=2^{n-1}-n
\end{displaymath}

よって,


\begin{align*}E(T)
&=\sum _{k=1}^\infty P(T\ge k)\\
&=\sum _{k=1}^{n-1} P(T\ge k)+\sum _{k=n}^\infty P(T\ge k)\\
&=(n-1)+(2^{n-1}-n) \\
&=2^{n-1}-1
\end{align*}



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2002-09-20