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線型幾何と四面体

2020.7.31/2018.8.31/2017.7.6/2012.10.7/2005.12.10

南海  座標平面および座標空間における直線や平面についてまとめて考えてゆこう. この分野は,ベクトル,行列や一次変換, つまり線型代数を駆使して考えると分かりやすい. 高校の教科書では「ベクトルと図形」として章が立てられているが, それは線型幾何とも呼ぶべき分野の入り口なのだ.

2006年の入試から京都大学では「ベクトルは直線・平面の方程式を含むもの」とされた. ベクトルで表された直線や平面を, その成分の関係式で表したものが直線・平面の方程式なのだから, 「ベクトル」分野に「直線・平面の方程式を含む」のは当然なのだ.

一方,2012年入学の学年から,行列が大学受験科目のなかからなくなる. 一次変換はベクトルからベクトルへの写像であり, 行列式もまた不可欠の道具である. これをなくすることには賛成できない. 意欲的な高校生はぜひ行列や一次変換の入った教科書や参考書を図書館などで見つけ,基本事項を読んでほしい.数時間から数日で可能である.高校時代にいちど触れておくなら,大学での線型数学の理解がそれだけ容易になる. またそのうえでこの分野を体系的に理解するためには『線型代数の考え方』を見てほしい.

ここでは線型幾何の基本をまとめ,外積を導入し,その応用を考えよう. 第一節で,平面幾何に関して,座標空間で1次式で表される図形とベクトルの基本事項をまとめる. ここまでが高校範囲である. そのうえで,第二節で空間ベクトルとその外積などを定義する. そして第三節で四面体に関するいくつかの命題を証明する.





Aozora 2018-08-31