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二次無理数の連分数展開の周期性を活用すると,ペル方程式
の解を構成すること
ができる.
証明
とすると,
(ただしはの共役な無理数)となる.
なぜなら,は明らかであるが,をを超えない最大の整数とすれば,
となるので明らかである.
したがって,定理61 より,の連分数展開の展開は第二項より始まる.
この周期をとする.
となる.ただし,
とおいている.
に,
を代入する.
さて一般にが自分自身と対等,つまり
ならば,
したがって,
となる.
よって
したがって,
- が奇数の時
-
-
- が偶数の時
-
が示された.□
とおくと,
であり,証明のなかで示しているように
となる.そして,
である.これからまた
となることも(数学的帰納法で)示される.
これでペル方程式の解の構造定理に現れる行列
との関連も明確である.
例 6.2.2
従って
となった.
がの解となり
がの解
となるはずである.
である.を求める,
が次に
現れるときである.その展開は
をあらためて
に代入する.
したがって,
となる.
また,
に対して,
はその次に現れる解であるから,
となる.
である.
こうして
の解が構成された.
実際,
である.
残された最後の問題は,
ペル方程式の正の解がすべて
から得られることを示すことである.この証明を一般の場合に示す.
定理 63 (構成定理2)
の解で
であるものは,
の展開から得られる
で尽くされる.ここに
は
の展開の周期である.
■
証明
である任意の解をとする.
,つまり
である.
ここで,
であるので,ペル方程式の解の構造定理
57
の証明のなかで示したように, である.
とおく.
(はの共役)である.
これを
に代入する.
ここで
とおく.
なのでである.
とし,
とおく.
で
となるから,とあわせて, である.
さらに,
は
つまり
の二根である.
よって.
さらに,
つまり
が成り立つ.
したがって
-
のとき,,
よって.
-
のとき,
,
よって.
そこで
- (1)
- のとき,定理51により
は
の連分数展開から得られる.
- (2)
- のとき,つまりのとき,より
,
なので.
よって
- (3)
- のとき,つまりのとき,より
なので.
よって
いずれの場合も
は自身の連分数展開のなかに現れる.
つまり
はの連分数展開である.
が連分数展開であるから,あるで
とかける.このとき
となり, は 周期の倍数になる.つまりある整数によってとなる.
したがって,
となり,題意が証明された.□
注意 6.2.1
ペル方程式の解の構造定理
57を踏まえれば,
のなかでの最小解
が
であることが確定した.
注意 6.2.2
周期
が偶数の場合,
すべての正整数
に対して
が
を満たし,
この他に解がない.
よって
には整数解がないことも示せた.
注意 6.2.3
これは二次体の数論になるのであるが,ペル方程式は次のような意味をもつ.
有理数体に二次無理数をつけ加え四則演算で得られる数の集合は体をなす.これを
と書く.このなかで二次の項の係数が1である整数係数の二次方程式の解となっている数を
の整数といい,その集合を整数環という.
ペルの方程式は,この整数環の単数を求めることに関連している.したがってペル方程式の数論的な性質を解明するためには二次体の数論が必要なのである.しかしそれは『数論初歩』の範囲を越えるので,これを指摘するにとどめる.
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