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存在と構成

存在するのか,という問い

自然数の集合は本当に存在するのか.「存在するのか」と問うのが近代である.ではどのようなことが示せれば存在するといえるのか.自然数の集合が存在するとは,自然数の公理を満たす集合が構成でき,かつその公理が互いに矛盾しないことととらえる.さらに自然数の公理を満たす集合が二つあれば,その二つの集合の間には一対一の対応が存在し,その対応で演算の結果も対応する,つまり代数的な構造物として互いに同型であることが示せれば,数学の対象として確定する.

自然数を構成することが可能であることを確認することは,数学の基礎を確認するという意味において大変重要なのであるが,公理を満たす自然数の存在を前提として進んでいく整数の論証のうえでは必要でない.従って本節と次節,および整数と有理数の構成問題は最後においた.




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