2018.10.7/2017.10.22/2017.9.13/2015.7.31/2010.6.11
近年,確率の苦手な人が増えた. 確率の問題を,正しいのか間違っているのかよくわからないままに解いているところがある. すべての事象の確率の和が1ということ以外には, 解答を検算する方法がなく,答えに確信が持てない人も多い. 確率は,高校数学の中では現実との接点をもつ数少ない分野で,問題文を読んで, 試行の意味を読み取る力が必要である.
確率論は数学の理論として明確である. 高校教科書は,これを踏まえたものでなければならない. しかし,実際には感覚的で直感的な記述に終始している. しかも,1年課程と2年課程に分割されているため,双方学んではじめて理解できることが, 曖昧なままになっている.
そのために,自分で考える高校生には,かえってわかりにくい. だが,教科書の記述にある様々の不備や論理の穴を見いだし, 自分の力で乗り越えることこそ,高校生のほんとうの勉強だ.
それで,その一助にと,学校での確率を少しは習ったことを前提に, 確率論の骨格がつかめるように,ごく基本をまとめた. 教科書範囲をやや越えるところもある. 分かりにくいときは,くりかえし考え,順次理解してほしい.